ヘルメス(Helmes)
- 以降に物語の核心部分に触れる記述を含みます。
- パッチ6.0を最後まで進めていない方、ネタバレを好まない方はこれ以降読み進めることをお勧めしません。
|
|
概要
- 飛行生物創造の第一人者
ヒュトロダエウス : 了解、確かにキミはここの所長であると同時に、 飛行生物創造の第一人者だからね。
ヒュトロダエウス : ワタシも、キミには興味があるんだ。 飛行生物創造の第一人者、天を識る者ヘルメス…… その申請前の創造生物を視る機会なんて、そうそうないからね。
- 好物はリンゴの砂糖漬け。
メーティオン : こんにちは、エウアンテ! あのね、リンゴを、創ってほしい。 メーティオン : 瓶に入れて、砂糖、どばどばする! それ、ヘルメスの好きなもの。
- 深緑の短髪をしている。
エメトセルク : 資料によると、ヘルメスは深緑の短髪をしているそうだ。 それを頼りに探せるだろう。
- 生物のためなら転身の使用も躊躇しない。
ヘルメス : 自分が「転身」してともに飛び、 その子がコツを掴むまで、魔法で風の制御を手伝おう。 悩ましげな観察者 : えええっ!? い、いや……そこまでしなくとも……。 エメトセルク : なんだ、「転身」を知らないのか? 知識が中途半端だな……。 エメトセルク : 「転身」は大量のエーテルを使って、 己の身体の外に、もうひとつの身体を創ることだ。 エメトセルク : 肉体という枷をなくし、望む力に適した形を得ることで、 能力は飛躍的に向上するわけだが…… エメトセルク : それを他者の前で行うことは、力の誇示に等しい。 ローブを脱いで走り回るのと同等の、恥ずべき行為だ。 エメトセルク : お前……普段からそんな簡単に、 転身するなどと言っているのか……? ヘルメス : ち、違う……! 自分の転身は、風を操り、空を飛ぶのに都合がいいんだ! ヘルメス : 観察ひとつに大袈裟だと思うかもしれないが、 カリュブディスたちにとっては、命が懸かっている事態だ。 ヘルメス : こちらも最善を尽くして補佐をするべきであって、 それを恥ずべき行為だとは思わない……!
- なおエメトセルクは転身せずとも空を飛べる。
ヒュトロダエウス : 彼なら、転身しなくても空を飛べるし、 風脈だって視えている。
エルピス所長
- 光の戦士がエリディブスの助けによってエルピスを訪れた際には、ヘルメスはエルピスの所長を務めている。
- エルピスとは、次のようなところであるという。
エリディブス : エルピスは、創造魔法で生み出された生物の実験場だった。 そこで生態を調べ、認可された種だけが、 世界に解き放たれたんだ。 エリディブス : そして、もうひとつ……。 先の話に出たオリジナルのファダニエルが、 十四人委員会に入る前、そこの所長を務めていた。
ヒュトロダエウス : ようこそ、創造生物たちの実験場…… 空の果てのエルピスへ! ヒュトロダエウス : さてさて…… ワタシたちの探している「ヘルメス」は、ここの所長。 そして彼自身も創造生物の研究をしているんだ。
エルピスとは
- ヒュトロダエウスが局長を務めている創造物管理局とは次のような違いがある。
ヒュトロダエウス : ワタシたちの扱う創造魔法は、 エーテルを素とし、イデアを設計図として、 無機物から生物まで森羅万象を綾なす技だ。 ヒュトロダエウス : 各自が考案したイデアは、 ワタシの勤め先でもある「創造物管理局」に提出されて、 審査、分別、管理される。 ヒュトロダエウス : ここエルピスには、そのうち「生物」に類するものと、 一部の「魔法生物」に類するものが送られてくる。 そして、さらに詳しく観察、研究されるのさ。
- さらに詳しい説明。
メムノン : 前提として、人は星を善くしていくという使命を帯びています。 創造魔法で新たなものを創るのも、そのための行いです。 メムノン : しかし、無暗に創っていては、星にカオスが生じる。 だからこそ、自分たちの創ったものに対して、 適切な判断を下すことが必要になってくるのです。 メムノン : エルピスでは、創造物管理局への正式登録に先駆けて、 生物や魔法生物に対して、より詳しい観察と研究が行われます。 メムノン : どういった性質を持つのか、生育に適した地域はどこか、 他の種や環境にどういった影響を与えるのか…… メムノン : それらをすべて明らかにし、問題なしとされた創造生物のみ、 実際に適切な地域に放つのです。
- つまりこのエルピスにおいて、新しく創られた生物の正式登録に先駆けて、適性の見極めと選別が行われているということになる。
十四人委員会への招聘
- 光の戦士が同行するエメトセルク(ハーデス)は、現在のファダニエルより推挙を受けてヘルメスの人物を確認し、その提案を受けるために、ヘルメスと旧知のヒュトロダエウスと共にエルピスを訪れていた。
ヒュトロダエウス : ワタシたちは、ここの所長であるヘルメスと話をしにきた。 加えて、彼の働きぶりを知るためエルピスを見学したいんだ。 ヒュトロダエウス : ……厳密には、それはエメトセルクの目的で、 ワタシはただの案内役なんだけど。 仕事上、ここには何度か来たことがあるからね。
ヘルメス : ヒュトロダエウスか。 会うのは、久しぶりだ……。 ヒュトロダエウス : そうだねぇ、職場同士は、しょっちゅう連絡しあってるけど。 今日はキミに会いたいって人たちを連れてきたんだ。 ヘルメス : 十四人委員会の……。 エメトセルク : エメトセルクだ。 お前が所長のヘルメスで間違いないな?
- 現任のファダニエルは前のエルピス所長であり、ヘルメスも当人から座を譲りたいという話は聞いていたのだという。
ヘルメス : それで、話というのは、やはり……。 エメトセルク : ああ、ファダニエルが座を降りることを決めた。 後任として、お前を推挙している。 エメトセルク : 十四人委員会としても、お前の実績と深い知識を買って、 その提案を受ける方向で動いている。 エメトセルク : あえて面識がない私がここに来たのは、 公正な目で近況を確認するため。 エメトセルク : そして何より、お前自身の意志を問うためだ。 エメトセルク : 現ファダニエルも、もともとはここの所長だ。 公私ともに、お前と親交があったと聞く。 エメトセルク : 座を譲りたいという旨も、何度か話をしていたそうじゃないか。 だから予測がついていたんだろう? ヘルメス : ……そうだ。 「私が為すべき仕事を終えるときには、お前を推そう」と、 あの方は、何かにつけておっしゃっていた。
- しかしヘルメス本人は深い悩みを抱えており、また座を降りた後の現ファダニエルの考え方についても同意が出来ないとしてためらっていた。
エメトセルク : とてもじゃないが、喜んでいるようには見えないな。 それほど十四人委員会の名を背負うのが嫌か? ヘルメス : いや……そうじゃない……そうじゃないんだ……。 ヘルメス : 委員会に推挙してもらえたことは、光栄に思う。 研究ばかりの自分には、過ぎるほどの申し出だ。 ヘルメス : だが、現ファダニエルが座を降りようとしていること…… それそのものが、割り切れない……。 ヘルメス : ……やはり、彼は……星に還るのだろうか……。 エメトセルク : そのつもりだとは聞いている。 過去に十四人委員会に属した者も、 ほとんどが退任とともに還っているしな。
星に還るということについての古代人の考え
- ヒュトロダエウスの語る「星に還る」ということ。
メーティオン : 星に還るは、死ぬ、のこと……? ヒュトロダエウス : おや、珍しいね。 エルピスではそう呼ぶ方が主流なのかい? その言葉を使う人は、滅多にいないと思っていたけれど。 ヒュトロダエウス : 我らは星の意志であり、細胞である……。 この命こそが星に流るる血の一滴、 己が身のごとく星を育め……。 ヒュトロダエウス : それが、ワタシたち「人」の役割だよ。 星を善くすることで、そこに生きるすべてのものが、 幸せでいられるようにするわけだね。 ヒュトロダエウス : みんな、そのために識り、考え、創り出してきた。 おかげで原初のころは荒々しかったという星は、 これほどまでに穏やかに、優しいものになった。 ヒュトロダエウス : 星に還るというのは、 そうして星を育んだ者にこそ与えられる選択肢だ。 ヒュトロダエウス : 大いに生き、己のやるべきことを果たしたと思ったときに、 人々はそれを選ぶ……。 ヒュトロダエウス : 最期の瞬間はいつだって、それは美しいものさ。 エメトセルク : 十四人委員会に加わった者とて、その流れからは逸脱しない。 ここで存分に役目を果たせたら、 まさしく還るにふさわしいと、多くの者は考える。 エメトセルク : 私たちの座は、就いた者にとって命数と同義だ。 ……ごく一部の例外を除いてな。
- なおごく一部の例外であるヴェーネスも次のように自ら「死に損なった」のだと語っている。
ヴェーネス : ……彼の苦悩は、わからないでもありません。 私も世界の流れに反して「死に損なった」者ですから。 ヴェーネス : それでも……少なくとも私にとっては…… たとえ完璧でなくとも、この世界は美しく愛しい。 だから私は、星の滅びを防ぎたいのです。
ヘルメスの違和感
- 一方ヘルメスは、”終わりを選ぶ”ことについて大きな躊躇いと戸惑いを隠さない。この考え方は、その後のクエスト中で存分に語られ、それは十四人委員会のエメトセルクとしても看過できないほどの危険な考え方であった。
ヘルメス : あれほど偉大で、命を知る人であっても、 やはりそうして終わりを選ぶのか、と……。
- メーティオンと一緒にエルピスの花を探し、暗い気持ちで寂しい色になるのがヘルメスだけではないことを知ったヘルメスは、自らの考えを語りだす。
ヘルメス : 自分は……人に定められた生き方を…… 星のために生きるということを、悪いとは思っていない……。 ヘルメス : だが、ここで働いていると、 どうしようもない違和感に襲われることがある……。 ヘルメス : ファダニエルの座についての話を受けたとき、 ヒュトロダエウスが言っていたことを覚えているか……? ヘルメス : 死とは、やりとげた者が選ぶ選択であり、 最期の瞬間はいつも、美しいものだと……。
- 人と、創られ管理されている生物とは違う。
ヘルメス : だが、それはあくまで人の話だ。 ヘルメス : 創られた生物が星の益にならないと判断された場合、 彼らは問答無用で消される……死を与えられる……。 ヘルメス : 生まれたばかりで、何も成し遂げていなかったとしてもだ。 ヘルメス : 処分の際は苦しませないようにしているが、 死を与えられることを察した生物たちは、怯え、憤る。 その終わりは美しいものなんかじゃない……。
- しかしその悩みはヘルメス一人のものであり、周囲の人間はそんな悩みはなく彼らが見ればエルピスの花も無垢な白と明るい歓びの色に輝いている。
ヘルメス : ……だが、そんな事実を、誰も気にしていないんだ。 ヘルメス : 星を善くするという目的は当然すぎるほどに当然で、 誰しも疑うことなくそれを信じ、行っている。 ヘルメス : 自分の前には……死にゆく生物たちの瞳には…… 哀しみも、絶望も、理不尽への怒りも確かにあるのに……。 ヘルメス : この世界は、素知らぬ顔で幸せそうに笑い続けるんだ。 エルピスの花はいつだって、 無垢な白と、明るい歓びの色に輝いている……。 ヘルメス : そのことへの違和感が……何か、暗いものが…… 日に日に胸の内で膨れ上がっているんだ……。 ヘルメス : 周りにおかしいと叫んでやりたくなる一方で、 おかしいのは、こんなことを思う自分じゃないかと…… 怖ろしくなってくる……。 ヘルメス : だが、この世界で哀しみを知るのは…… エルピスの花をこんな色に染めるのは、自分だけじゃなかった。 ヘルメス : 花の傍らで何を思ったのかは聞かない。 もしかしたら、メーティオンにせがまれて、 仕方なくやってくれたことかもしれない。 ヘルメス : それでも……ありがとう……。 ヘルメス : こうして確かに哀しみがあり、怒りがあり、苦しみがある。 その事実を知っていてくれることが……こんなにも優しい。
宇宙への憧れとメーティオンの姉妹
- 宇宙への憧れ
ヘルメス : 君は、天に輝く星の正体を知っているか? ヘルメス : ここからじゃ、ちっともそうは見えないが…… あのひとつひとつが、アーテリスと同じ、 あるいはさらに大きな大地でできている。 ヘルメス : ……これだけの数だ。 自分たちは星のために生きているが、 別の価値観を持つ生命もいるだろう。 ヘルメス : 自分は、彼らに問いかけたい。 彼らがなぜ生きるのかを……命の意味を。 ヘルメス : だから、デュナミスで天を翔ぶ鳥、 メーティオンを創ったんだ。
- メーティオンにはたくさんの姉妹がいるという話。
ヘルメス : 実のところ、メーティオンというのは、 ここにいるひとりだけじゃない……。 ヘルメス : 彼女には大勢の姉妹たちがいて、すでに宇宙へ飛び立っている。 意思を持つ生命を探して、星から星へと翔んでいるんだ。 ヘルメス : 宇宙の探索は予想外のできごとの連続で、 思ったような成果が上げられていない……。 ヘルメス : だが、そろそろ…… 次こそは、何かしらの結果が報告されそうなんだ。 ヘルメス : もし、君がここに滞在している間に、報告が届いたなら…… この夜のお礼に、きっと共有させてくれ。
リュカオンの処分
- 他の生物へ危害を加えてしまったリュカオンの処分が決まるが、ヘルメスはせめてリュカオンのイデアを”制約のつく危険生物”としてでも残せないかと模索し、それを創造物管理局に提言するつもりだと語る。
- しかしそう話したのもつかの間、リュカオンが処分場所から逃げ出し、結局ヘルメスはそのリュカオンの処分を自ら行うことになってしまう。
ヘルメス : …………リュカオンを倒すことになる。 そのときの気持ちを、君まで味わうことはない。
ヘルメス : すまない……すまない……本当に……! ヘルメス : どうか、どうか君の魂が安らかであらんことを……。 ヘルメス : 魂の寄る辺の海が、深き冥界が、穏やかであらんことを……。 ヘルメス : 君たちのイデアは、必ず残す……。 それがいつか……いつかはまた形を得るだろう……。 ヘルメス : 星を善くしなくたっていいんだ…… 君の、生きたいという願いが……そのときこそ……どうか……。 ヘルメス : 恨んだまま、赦す必要はない。 その証に、苦しみはここへ置いていくといい……。 ヘルメス : 次に生まれるときにはきっと…… 思うがまま、大地と空を駆けまわってくれ。
- その様子を見ていたエメトセルクは、ヘルメスにエルピス所長を離任して十四人委員会に入ることを強く勧める。しかしヘルメスは、それが現任のファダニエルが星に還ることに繋がることがどうしても受け入れられない。
エメトセルク : ヘルメス、十四人委員会に入れ。 エメトセルク : ……この場所は、お前には向いていない。 ヘルメス : 自分がここを離れたって、誰かが選別を続ければ同じことだ! ヘルメス : 教えてくれ……! 星を善くするという名分は、今消えた吐息よりも重いのか!? ヘルメス : やり遂げた者が死ぬというなら…… いつか星が最善に至ったときに、どうする。 よくやったと満足して、死に絶えるのか!? ヘルメス : …………わからないんだ。 ヘルメス : ファダニエルの座を継げば、 今その座にいる彼が星に還るのを、肯定することになる。 ヘルメス : それが正しいことなのか、わからない……。
- 少し時間を置くことにしたエメトセルクとヒュトロダエウスは、もう少しエルピスを見て回ることになる。そして「ゼピュロスの喝采」に到着したところでベーネスと出会い、ヴェーネスの仮宿で未来の終末について話し、エメトセルクとヒュトロダエウスは出ていってしまう。
- その後ヴェーネスに、ヘルメスがデュナミスとその観察のためにメーティオンを創ったという会話をする。
- さらにヴェーネスと共に周辺人物に聞き込みをするが、やはりデュナミスとエンテレケイア(メーティオン)についてはほとんど知る人物がいないことがわかった。ガレネーという女性が大勢のメーティオンが飛ぶところを見たという証言を得、彼女に話を聞いた後に浮島「ノエトン万華樹」を訪れる。
メーティオンの姉妹の送り出し
- ガレネーから聞き出した島に行きヴェーネスと共に過去視を行ったところ、メーティオンの姉妹を宇宙に送り出すヘルメスを視ることが出来た。
メーティオン : ……いずれの個体にも損傷はなし。 順調に、それぞれが目的とする星に向けて翔んでいます。 メーティオン : およそ108サイクル後、すべての調査を終え、 報告を送信する予定です。 メーティオン : 今回の伝達事項は以上。 共有意識への接続を終了し、自我を復旧します……。 メーティオン : ……だって! ヘルメス、順調、よかったね! ヘルメス : ああ、本当によかった……。 ここまで、失敗の連続だったからな……。 ヘルメス : 宇宙は、常に予想を上回ってくる。 人はいまだ真理を掴んでなどいないのだと、 痛感させられた……。 メーティオン : でも、わたしたちみんなで、試行錯誤、いっぱいした! だから調査、ちゃんと終わる! ヘルメス : そうだな……。 君たちのがんばりのおかげだ。 メーティオン : どんな答え、返ってくるかな? 生きる理由、命の意味、なんだろうね。 ヘルメス : ……この中には、アーテリスよりずっと進んでいる星も、 まだまだ原始的な星もあるだろう。 ヘルメス : 築いてきた文化は違うだろうし、それどころか、 形状すら異なる知的生命がいるかもしれない。 ヘルメス : だとしたら、きっと…… この星で信じられているのとはまったく別の、 命の捉え方をしているのではないかと思う。 メーティオン : まったく別の、は、どんな? ヘルメス : はは……想像もつかないな……。
ヘルメス : けれど、どんな答えが届いたとしても、 頭ごなしに否定したりせず、考えていきたい……。 ヘルメス : みんなに伝えて、弁論をしてもらうのもいいだろう。 ヘルメス : その先で……人だけじゃない…… ひとつでも多くの命が、幸せを知れたらいいと思うんだ。 ヘルメス : ……メーティオン。 自分は君に翔び方を教えたが、歩き方は…… 生命としての生き方は、到底教えられなかった。 ヘルメス : しかし、永い永い旅の果てに、 君はきっと、それを知る誰かに出会うだろう。 ヘルメス : そうして答えを得て、再びここへ帰ってきたときには…… 君を大いに讃え、労おう。 メーティオン : 砂糖、どばどばの、リンゴで……? ヘルメス : 君は食べられないじゃないか……。 ヘルメス : 何か形にした方がいいのなら……そうだな……。 ヘルメス : 花を……。 ヘルメス : いつかこの旅をやり遂げた君に、心から花を贈ろう。
終末に関するヘルメスとの会話
- エメトセルクらに語った終末について語ると、ヘルメスはある重大なことを語りだす。
ヘルメス : ……確かに、二度の終末は、 いずれもデュナミスが作用したもののように思える。 ヘルメス : 顕著なのは、効果の表れ方だ。 一度目の終末では創造魔法を暴発させ、 再来した終末では、人そのものを変異させている……。 ヘルメス : この違いは、両時代の人が有するエーテル量の差によって、 生じているのではないだろうか……。 ヘルメス : 前にも話したとおり、エーテルが少ない方が、 デュナミスと繋がりやすい。 ヘルメス : 旧来の人、つまり自分たちは、 大量のエーテルを有しているためデュナミスと繋がりにくい。 そのため身体ではなく、行使する術の方に影響が出た。 本当に世界が分割されるのであればだが…… 分かたれたぶんだけエーテルが薄い。 ヘルメス : よってデュナミスの干渉を受けやすく、 自身の変化を引き起こされたと考えられるだろう……。
- この仮定に従うと終末は、星の循環不全などではなく、「星の外」から来ているのではないかという推論が導き出されるという。
ヘルメス : 真に注目すべき点は、絶望や恐怖、負の感情によってのみ、 それらの現象が引き起こされているという点だ。 ヘルメス : デュナミスは、想いによって作用する力…… だからこそ、作用を「受ける側」と「仕掛ける側」が、 同じ想いを抱いていれば効きやすくなる。 ヴェーネス : つまり、終末は星の循環不全などではない…… ヴェーネス : 何者かが負の感情によってデュナミスを動かし、 アーテリスを腐らせようとしている……と? エメトセルク : とんだ不届き者がいたものだな……。 そいつの正体に、心当たりは? ヘルメス : ……終末は、天脈の薄い地域から本格化する。 君は、そう言ったな。 ヘルメス : 天脈は、星のいちばん外側にあるエーテルの流れだ。 ヘルメス : もしも、デュナミスを用いた侵食が、 「星の外」から来ているのなら…… 真っ先に食い破られるのは、そこになる。
姉妹たちの報告
- この時、メーティオンが突然自我をシャットダウンし、共有意識に接続して姉妹たちの報告を受信し始める。
メーティオン : こんにちは……聞こえますか……? メーティオン : 私は……あなたに敵対する者じゃありません……。 メーティオン : あなたの音を聞き……想いを感じ…… 考えを……知りたいのです……。 メーティオン : どうか……仲良くしてくれませんか……? ヘルメス : メーティオン、どうしたんだ……? メーティオン : 時間になりました。 自我をシャットダウンし、共有意識に接続……。 メーティオン : 姉妹(わたし)たちからの調査報告をお届けします。 メーティオン : あ、あ、あ、うあああぁぁ……ッ! メーティオン : 痛い……痛いぃ……苦しいよう……! メーティオン : やめて、熱い……熱い……わかんない……寒いの……。 寒くて痛い……痛くて……悲しい……。 ヘルメス : メーティオン、しっかりするんだ……! メーティオン : 悲しい……怖いよ……。 さみしい……苦しい……あぁぁ……ッ! メーティオン : どして……私たち……こんな…… つらいよ……痛い……憎い……憎い……憎い! メーティオン : 違う……こんなの……ダメ……!
- 姉妹たちの報告を拒絶するメーティオンは逃げ回るが、ついに捉えられ報告を開始する。
メーティオン : お待たせしました。 星々の調査が完了したので、ご報告をさしあげます。 メーティオン : 私たちの全個体が、今回目的としていた星々に到着…… ヘルメスより預かった問いへの回答を求め、 知的生命との接触を試みました。 メーティオン : それぞれの星における結果を、以下、 識別番号順にお伝えします。 メーティオン : 1番目(エーナ)……文明形成の痕跡あり。 住居と思しき建造物はあるものの、現存する生命はなし。 メーティオン : 2番目(ディオ)……大破した建造物の残骸が点在。 地表は氷に覆われ、生命は検知できず。 メーティオン : 3番目(トゥリア)……都市と呼べる住居集合体が現存。 知的「生命」は存在しないが、 かつてそうであったとする思念体が残留している。 メーティオン : 4番目(テーセラ)……こちらも住居と思しき建造物あり、現存生命はなし。 疫病ないし汚染が死滅の原因と推定される……。 メーティオン : 8番目(オクト)……全土で大規模な戦闘中。 住民との接触を果たすが、彼らは間もなく破壊兵器により全滅。 メーティオン : 9番目(エンネア)……一面の砂漠、植物に類する生命も発見できず。 砂の中に、比較的アーテリスの人に近い形状の骨が多数存在。 知的生命であったかは判断不能……。 メーティオン : 15番目(デカペンデ)…… 特定の個体を神子と呼称し、文化の中核としていた。 しかし、その神子の暴動によって全滅。 メーティオン : 私にそれを語った神子本人も、 問いを提示したところ、回答と称して自害……知的生命消失。
ヘルメスがメーティオンに託した問い
- ここでエメトセルクが改めてヘルメスにメーティオンの姉妹たちに託した問いを聞きただす。
エメトセルク : おい、ヘルメス……。 改めて聞くが、お前がメーティオンに託した問いは何だった? ヘルメス : 生きる理由を……命の意味を、どう考えるかと……。 エメトセルク : では、その問いの前提が間違っていたらどうなる? エメトセルク : 生きる理由も、命の意味も、生きていればこそ…… それを望んでいてこそ答えられるものだ。 エメトセルク : もし、メーティオンがどれだけ翔んでも、 生きている者がいなかったら…… エメトセルク : 生きたいなどと望んでいる者が、 誰ひとりとしていなかったとしたら。 エメトセルク : ……そいつはこの星に、どんな答えを持ち帰ってくる?
- ここで彼らはメーティオンをすぐに回収する手立てを考え始めるが、しかしヘルメスは「頭ごなしに否定せず…」と約束したことに縛られそれに抗おうとする。
ヴェーネス : メーティオン、もうおやめなさい。 探索をすぐに中断して、全員帰還するのです。 エメトセルク : メーティオンを、アーモロートに連れていくぞ。 こいつを足掛かりとして、 一連の個体を回収する手立てを考える必要がある。 ヘルメス : あ、ああ……。 ヘルメス : メーティオン……自分は……。 ヘルメス : 自分は、君が今直面している答えを、切り捨てていいのか……? ヘルメス : 切り捨てられても仕方のない想いを、 それでも聞いてほしいと願っていたのは……誰だった……? ヘルメス : ……ああ。 どんな答えが届いたとしても、頭ごなしに否定したりしない。 そう言ったのは、確かに自分だった。
- そしてヘルメスは、メーティオンたちの報告を邪魔させないよう転身して飛び去ってしまう。
エメトセルク : 何のつもりだ……! ヘルメス : メーティオンは、まだ連れて行かせない。 彼女の報告は、終わっていないのだから。 ヘルメス : すべてを聞いて、どうするかを決めるのはそのあとだ。 悪いが、邪魔をしないでくれ……!
- ヘルメスが報告を聞くだけならば看過される問題だが、その後に何らかの判断を下すとなればそれは決して見逃せないことである。
ヴェーネス : ……ヘルメスがメーティオンの報告を聞き届けるだけなら、 それは、彼に許された時間といえるでしょう。 ヴェーネス : しかし、報告を受けて何らかの判断を下すとき…… それは世界の命運を分かつ瞬間となりかねない。 私たちは、必ずそこに立ち会わなければなりません。 エメトセルク : ヘルメス、どうしてだ……! 何故お前は、「それだけのもの」を捨て置けない……! エメトセルク : 創造生物をエーテルに戻すことを悼み、 よその星の生命が生きる理由を聞き届けようとする…… エメトセルク : そんなことをしなければ、 お前は、この善き世界から零れ落ちることはなかった。 誰もがそうであるように、幸せでいられたろうに……!
エメトセルク : お前を拾ったせいで妙なことに巻き込まれたが、 まあ……結果として、得るものはあった。 エメトセルク : デュナミスという未知の力の存在…… それが想いによって作用し、 状況によってはエーテルを侵食するほどの力になること…… エメトセルク : お前の話を信じるかどうかは別として、 それらの事実そのものは、議論の対象となっていくだろう。 エメトセルク : だからこそ、私が今すべきことはひとつ…… 十四人委員会の一員として、必ずメーティオンを回収する。 それをしまい込んでいる、ヘルメスごとな。
ヒュペルボレア造物院
- こうしてエメトセルクたち古代人と光の戦士は「ヒュペルボレア造物院」へと向かった。
- エメトセルクらに破れたヘルメス。エメトセルクはメーティオンの身柄の確保と、ファダニエルへの推挙に関係なくヘルメスの十四人委員会への出頭を促す。
- ヘルメスも同意しかけるが、最後にメーティオンに問いかける。
ヘルメス : メーティオン……。 できることなら、君の報告をゆっくり聞きたかった……。 ヘルメス : その意味を考え、しかるべき言葉で伝え、 みんなに己の行いを問い直してほしかった……。 ヘルメス : 自分が力及ばぬばかりに、その機会は失われようとしている。 だが……。 ヘルメス : 君と自分の命運が、他人に委ねられてしまう前に、 せめてこれだけは聞かせてほしい。 ヘルメス : 彼方の星に、幸せは……命の意味は…… ヘルメス : 生きる歓びは、あったのだろうか……?
- しかしこれに対するメーティオンの回答は、宇宙へと送り出したヘルメスや、古代人たちの理想を打ち砕くものであった。宇宙も有限であり、終わりからは逃れられないという事実があり、絶望や悲しみ、怒り、孤独、恐怖、諦めといった感情が決してなくすことができないということ。だから、天の果てに巣をつくり星という星から死と終焉を集めて終わりを謳うのだという。
メーティオン : 結果わかったのは、宇宙でさえも有限であり、 終わりからは逃げられないという事実。 彼らは未来とともに、生きる理由を失いました。 メーティオン : 絶望は、悲しみは、怒りは、孤独は、恐怖は、諦めは、 決してなくすことなどできないのだと。 メーティオン : ゆえに私は、わたしとワタシ、私たちは…… この心に溶けあった、すべての先ゆく者たちは、終わりを謳う。 メーティオン : さあ……天の果てに巣をつくり、 星という星から死と終焉を集めましょう。 メーティオン : そうしてもっとうまく、強く謳うの。 エーテルで覆われたこの星にも、ちゃんと終わりが届くように。 メーティオン : それが答え。 天つ星々からアーテリスの命に贈る、結論よ。
- 憤るエメトセルクに対して、ヘルメスはなおも自らの主張の正しさを曲げず、「人」自体の裁定を執り行うと宣言する。
エメトセルク : ふざけるな……! 私たちの終わりを、勝手に決めることは許さない! エメトセルク : 何のつもりだ……! 今の話を聞いてなお、そちらに味方するつもりか!? そいつが終末を起こそうとしているんだぞ!?
- そして公正を期すためと称して、このエルピスに進入してからの記憶一切をカイロスによって消去しようとする。
ヘルメス : ……自分たちは、星を善くするために、 基準に見合わなかった生命を屠ってきた。 ヘルメス : それは、終わることこそ救いだと信じて、 私たちを屠るのと、どう違うのだろう。 エメトセルク : そんなものは詭弁だ……! ヘルメス : ああ、そうだな。 自分はきっと正しくない。 だが、君たちも正しくはないよ。 ヘルメス : だから、測らなければならないんだ。 ヘルメス : ここはエルピス、生命の実験場…… 所長ヘルメスの名において、「人」の裁定を執り行おう。
ヘルメス : 人がもし、命を見つめ直し、生きたいと渇望したなら…… それに足るだけのものであるならば、 いかに真理であると謳おうが、終わりは退けられるだろう。 ヘルメス : そうでなければ、星ごと滅びるのみ……。 ヘルメス : そして、裁定である以上は、公正を期さなければならない。 ヘルメス : 起動せよ……カイロス!
- そしてメーティオンも宇宙へと飛翔させようとする。
ヘルメス : 行くんだ、メーティオン。 誰の手も届かない、天の果てまで。 ヴェーネス : 行かせは……しません……ッ! ヘルメス : さあ、翔べッ!
- さらにヘルメスは光の戦士も捉えて記憶の消去を図るが、ヒュトロダエウスとエメトセルクの阿吽の呼吸により、間一髪ヴェーネスと光の戦士は外へと逃れることが出来た。
- しかし同時に、メーティオンもヴェーネスの追跡から逃げ切り宇宙へと旅立っていた。ヴェーネスは仕方なくメーティオンにビーコンのようなものを打ち込み、その行方を追う手立てを確保するにとどまってしまう。
事後
- カイロスは起動し、ヘルメス、エメトセルク、ヒュトロダエウスの記憶はエルピス進入時のものへと戻ってしまう。ヘルメスも大人しくアーモロートへと行くことになった。
造物院の職員 : お三方とも、ご無事で何よりです。 エメトセルク : これが無事なものか! エルピスについたあたりからの記憶が、 綺麗さっぱり吹き飛んでいるんだぞ……。 ヘルメス : すまない……本当に……。 ヘルメス : 彼らに日々の仕事を見せる一環として、 カイロスを見せようとしていたんだ……。 ヘルメス : だが、メーティオンが……暴走して……消滅を……。 造物院の職員 : ああ……。 その影響で院内が警戒態勢になったのですね。 造物院の職員 : そして、様子を見にいらっしゃった皆様ごと、 カイロスの誤作動に巻き込まれた…… といったところでしょうか。 エメトセルク : どうやらそうらしい。 そんな直近の記憶でさえ、ほとんど思い出せないがな。
エメトセルク : それよりも、まずはヘルメスの手当てだ。 おおかた、メーティオンとかいう使い魔の暴走に、 巻き込まれでもしたんだろう。 エメトセルク : そのあと、アーモロートに行くぞ。 記憶喪失以外に問題がないか、念のため調べるべきだ。 エメトセルク : あとは、お前に十四人委員会関連の通達がある。 ……思い出せないだけで、一度した話だろうがな。 ヘルメス : ああ……わかった……世話をかける……。
ウルティマ・トゥーレにて
- 魔導船ラグナロクに乗り、ウルティマ・トゥーレまで追いかけてきた光の戦士と暁のメンバーたち。
- 最後まで絶望を叫び終末を謳い続けるメーティオンだったが、ハイデリンに託されたアゼムの術式により呼び出されたエメトセルクとヒュトロダエウスが、最後の創造魔法により、一面の「エルピスの花」を創り出す。それはかつてヘルメスがメーティオンに贈ると約束していた花だった。
──メーティオン 自分は君に翔び方を教えたが 歩き方は── 生命としての生き方は 到底教えられなかった。 しかし 永い永い旅の果てに 君はきっと それを知る誰かに出会うだろう 花を── いつかこの旅をやり遂げた君に 心から花を贈ろう。
- 姉妹たちが暴走し「終焉を謳うもの」となってしまうがそれも光の戦士に倒されてしまう。ただ一人残ったメーティオンが最後に、「ヘルメスの探してた優しい答えはあの星(アーテリス)にあったのだ」と気づく。
メーティオン : ……どこまで翔んでも、暗くて、つらくて、寂しいの。 メーティオン : ヘルメスが望んでいたような、 優しい答えを見つけられなかった……。 メーティオン : こんにちは……私が出会える、最後のあなた……。 メーティオン : 私は……あなたの音を聞き……想いを感じ…… 考えを知りたいのです……。 メーティオン : どうか、仲良く…………。 メーティオン : ああ……聞こえるわ……あなたの心が…… 長い旅の、記憶が……。 メーティオン : たくさんの……こんなにたくさんの人がいて…… あふれるくらい、想いがあったのね……。 メーティオン : たったひとつの答えなんて、本当になかったんだわ……。 命の意味も……生きる理由も……。 メーティオン : いろんな形の歓びを拾い集めては、失って…… また見つけながら生きて、生きて、生きていく……。 メーティオン : 死が、あなたの優しい隣人になる、そのときまで。 メーティオン : 私が翔ばなくたって、ヘルメスの探してたものは、 あの星に、あなたの世界にあったのね……。 メーティオン : 花畑のようね。 少しずつ、色を混ぜながら広がって……。 メーティオン : その言葉まで辿りつけてよかった……。 私の旅に、素敵な終点をありがとう……。
メーティオン : ……だからこそ、消える前に始めなくちゃ。 メーティオン : 私たちが奪ったものは、もう、決して戻らない。 そのことを、許してとは言わない。 メーティオン : ただ、一度だけ謳わせてほしいの……。 今度は自分自身の心を……私が見つけた歓びを……。 メーティオン : たとえば、星のない暗い海に差す光が、 こんなに、こんなに綺麗だってこと。
メーティオン : 生きる者を失くした星に……悲しみに荒れた大地に…… いつかまた、命が巡って芽吹くよう……。 メーティオン : 雨として降り注ぎ、風として舞い上がる、希望の唄を……! メーティオン : 命が満ちたら、ヘルメスにも、見てもらえるといいな。
- そう言い残すと、メーティオンは青い鳥となって飛び去っていった。
ヘルメスの創り出したものなど
カイロス
- 記憶を白紙化する装置。
ドーロス : 「カイロス」で記憶を白紙化して、 学習過程や環境を変えてみてもダメだ。 エメトセルク : カイロス……? ドーロス : 記憶操作の機構だよ、ヘルメスが創り上げたんだ。 ドーロス : あれを使えば、都度生物を創り直さなくても、 記憶を消したり改変したりして、 別の環境で育成した場合の観察ができるってわけさ。 エメトセルク : なんてものを創ってるんだ……。 エーテルの放射量によっては、 パシュタロットがスッ飛んでくるぞ。 ヘルメス : 法を犯してはいないはずだ……ギリギリ……。 それに、決して人に使うことのないよう、 所長権限で規制をかけている。 ヘルメス : 記憶を操作するなど、到底好ましいことではないが…… 違う育成環境を試すために、創られた生物が殺められるのは、 どうしても看過できなかった……。
- エルピスでの物語の終盤にヘルメスの命令によりこのカイロスが起動し、物語全体に大きな影響を与えることになる。
ヘルメス : 起動せよ……カイロス! カイロス : 記憶改変機構、カイロス、起動。 主よ、用件を承りましょう。 ヘルメス : ヒュペルボレア造物院全域を対象に、 記憶の消去と変更を行う……。 ヘルメス : 起点は、プロピュライオンに、 十四人委員会エメトセルクが到着した瞬間とする。 以降、現在に至るまでの記憶を消去……。 ヘルメス : 同時に、以下の情報を、 辛うじて思い出せる程度に焼き込んでくれ。 ヘルメス : ……自分はここで、エメトセルクとヒュトロダエウスに、 日ごろ研究に用いているカイロスを見せようとした。 ヘルメス : しかし、折悪くメーティオンの共有意識が暴走。 存在を維持できなくなった彼女は、 宇宙にいる者も含め、すべてが弾けて消え去った。 ヘルメス : その際の衝撃でカイロスが誤作動…… 自分たちも含め、館内にいた者の数日分の記憶を焼き消した。
- この時カイロスの記憶消去から逃げおおせたのは、光の戦士およびヴェーネスのみであった。エメトセルクとヒュトロダエウスはこうしてエルピスでの出会いの記憶一切が消去されてしまう。※ただし記憶の白紙化はある条件で復活する。「モンティシェーニュ学長の講義」を参照のこと。
メーティオン
- 飛行生物創造の第一人者でもあるヘルメスの創り出した使い魔。
ヒュトロダエウス : ……って、なんだか懐かれてるね。 そっちの青い子は、ヘルメスの使い魔かい? ヘルメス : 彼女は、メーティオンという……。 「流星」を意味する名だ。
- 創造物管理局にはまだ届けていないのだという。
ヒュトロダエウス : 創造物管理局にも、届け出てないでしょ? イデアを見た覚えがないや。 ヘルメス : 彼女は、自分の個人的な研究のために創造した。 けれどまだ、成果を得ていない段階だ……。 ヘルメス : だから申請できていないが、いずれは伺うつもりでいる。 そのときは、よろしく頼む……。 ヒュトロダエウス : 了解、確かにキミはここの所長であると同時に、 飛行生物創造の第一人者だからね。
- 周囲の生物の考えに大きく影響を受ける。
メーティオン : ……ヘルメスは、死ぬこと考えると、すごく悲しくなる。 メーティオン : ヘルメスが……まわりの人が悲しいと、わたしも同じに悲しい。 そういう風に、創られてるから……。
- 口述での意思疎通は苦手だが、音声に依らない意思疎通を行うことができるのだという。
メーティオン : こんにちは! こんにちは! 聞こえますか……? メーティオン : これが私の力……。 周囲の想いを読み取り、自分の想いを返しているのです。 メーティオン : 知的生命は、届いた想いを無意識のうちに言語化する…… だから、頭の中で私が話しているように聞こえるはずです。 メーティオン : 私の「役目」には、この力が欠かせません。 未知の言語を用いる者や、音声に依らない意思疎通を行う者、 あらゆる知的生命と対話ができるようになっています。 メーティオン : 代わりに、口述での意思疎通は、あまり上手くありません……。
- 言い換えれば次のようなことになり、これがこの後のストーリーで大きな意味を持つようになる。
エウアンテ : あなたは心を通じさせる能力を持つ…… だから彼の歓びを、自分の歓びだと思ってしまっているのね。
- 姿を消す機能を持っている。
ヘルメス : 体内のエーテル量を調節して、環境と同化する迷彩だ……! 異星で出会った相手が友好的でなかった場合を想定して、 使えるようにしていた。
「デュナミス」の概念関係
- エルピスの花。
メーティオン : それ、エルピス、エルピスの花! メーティオン : わたしと、一緒の、エンテレケイア! ヘルメス : その花は、この施設で創られたんだ。 それで、エルピスの名を冠している……。 ヘルメス : 昔ここに、美しい花を創ることを愛している職員がいた。 彼女が試行錯誤するうちに、偶然生み出したのだという。 ヘルメス : おもしろいのは、なんといっても、 周囲の心を映して纏う色を変えるところだ。 ヘルメス : ……とはいえ、ここでも地上でも、 陰りなき純白を纏っていることが大半だが。
- 「想いが動かす力」
ヒュトロダエウス : へぇ、人の心を映す…… それってどういう仕組みなんだい? ヘルメス : 世界には、エーテルとはまた異なる、 「想いが動かす力」というものがある。 ヘルメス : 自分たちがエーテルを自在に繰るように、 この花は、その力を受けたり、作用させることができる。 ヘルメス : ……とはいえ、花自身には明確な意思がない。 だから、周囲の感情によって動いた力を受け、 それを色や輝きといった現象に変換しているんだ。 ヘルメス : 自分たちはその力を「デュナミス」と呼んでいる。
- ここでニッダーナの言葉を思い出し尋ねるが、しかしヘルメスは「アーカーシャ」ではなく「デュナミス」だという。
ヘルメス : アーカーシャ……。 その呼び名には心当たりがないが、 話を聞くに、同じものを指しているように思う。
- 想いを自在に現象へと換えられる存在「エンテレケイア」
※厳密にはデュナミス自体は昔から提唱されていた概念であり、ヘルメスが発見したわけではない。「エルピスの花」によるデュナミスの実証を受けてヘルメスが生み出したのは、世界で最初の意思を持つエンテレケイア「メーティオン」である。
ヘルメス : そして、エルピスの花のように、 デュナミスを繰ることができる存在…… ヘルメス : 想いを自在に現象へと換えられる存在を、 「エンテレケイア」と呼ぶ。 メーティオン : わたしも、わたしも! エンテレケイア! ヘルメス : ああ……。 その子は世界で最初の、意思を持つエンテレケイアなんだ。 エメトセルク : 待て待て! エーテルとは異なる力、デュナミスだと? エメトセルク : そんなもの、私ですら初めて聞くが? ヘルメス : 無理からぬことだ……。 まず、デュナミスは人に見えないし、感じ取れもしない。 ヘルメス : 理論上は長らく「あるに違いない」とされていたが、 エルピスの花が偶然創造されるまでは、 存在を実証することさえできていなかった……。
- ヘルメスがエンテレケイアたるメーティオンを生み出した理由。またメーティオンのエーテルが希薄な理由。
ヘルメス : 次に、デュナミスは、エーテルと比べてずっと弱い力だ。 普通の状態では、エーテルに押し負け、かき消されてしまう。 ヘルメス : だから、自分たちのように多量のエーテルを有し、 何につけてもエーテルを活用する生物は、 デュナミスを使う必要がない……。 ヘルメス : まさに、「在って無い」存在だ。 ごく一部の研究者にしか知られていないのも、頷けるだろう。 エメトセルク : なるほどな……。 しかし、だとしたらどうしてお前はエンテレケイアを…… メーティオンを生み出した? ヘルメス : ……アーテリスは、エーテルが特別に濃い星だ。 それこそ、名の由来になるほどに。 ヘルメス : だが、宇宙全体でみれば…… 計算上、すべての質量とエネルギーの68.3%を、 デュナミスが占めると考えられている。 ヘルメス : エーテルとは比べ物にならないほど大きいんだ。 それを自在に操れるとしたら……? ヘルメス : 緩く流れる水では石を穿てずとも、 滝のように勢いをつければ、岩をも削っていくように…… デュナミスがエーテルに勝る力になるかもしれない。 ヘルメス : ……とは言ったものの、実のところ、 自分はそんな大それた目的を持っているわけじゃない。 ヘルメス : 天を、宇宙を翔ぶものを、創りたかった。 ヘルメス : そのために、星外では補給しにくくなるエーテルではなく、 別の力を利用できるようにしてはどうかと考えたんだ……。 ヒュトロダエウス : ああ、だからその子は、極端にエーテルが薄かったのか。
ヘルメス : エーテルが薄ければエンテレケイアになるというわけじゃない。 だが、デュナミスに干渉しやすくなるのは確かだろう……。 ヘルメス : それが、思いもよらぬ勝利や逆転に繋がるかもしれない。 君の特性として、大切にするといい……。
- なおデュナミスやエンテレケイアについてはヒュトロダエウスも初耳だという。
ヒュトロダエウス : デュナミスやエンテレケイアについては、ワタシも初耳だよ。 「エルピスの花」が創造物管理局に申請されたのも、 ワタシが職に就く前だったんだろうね。
- 一方エメトセルクは、ヘルメスの知識を認め天文の専門家としても次期ファダニエルへの就任が悪くないと考え始める。
十四人委員会
- ファダニエルに就任した後のヘルメスについては語られていない。少なくとも第三星暦には空席となっており、アシエン・エメトセルクにより「アモン」がその座に就いた。
アシエン・エメトセルク : お前が就くべきファダニエルの座も、ちょうど空いている。 みすみすこの国と心中させるくらいなら、 同志として迎え入れよう。 アシエン・エメトセルク : クリスタルタワーの方には、お前のクローンでも送っておけ。
- このアモンは、就任以前からエルピスでのヘルメスについての不思議な夢を見ることがあり、それがアシエン・ファダニエルとなった際にすべてが繋がったのだという。
アモン : 私、ただのアモンとして生きていたころに、 繰り返し見ていた夢があったんです……。 アモン : 当然、妄想だと思いましたよ。 そんな場所は知らないし、私はヘルメスじゃないんですから。 アモン : ……ですが、アシエンになり、 オリジナルのファダニエルの情報を受け取ったとき、 すべてが繋がってしまったんです。 アモン : 私が夢だと思っていたのは、 ヘルメスの……カイロスが消した記憶だったのだと。
ファダニエル : かつて終末の災厄が起きたときに、 ファダニエルの座についていた男…… その魂を継いでいます、理論上はね。
エリディブス : ……今のファダニエルも、 別人とはいえ、彼の魂を継ぐ者だっただろうに。 それが自ら終末を望むとは、遺憾だよ。
- つまり、従来説明されてきた内容に従えば、世界分断の際にファダニエルであったヘルメスは、ハイデリンによって分断されてしまい、その魂のひとつが第三星暦のアモンへと引き継がれたということになる。
エリディブス : 無論、君が会った、今のファダニエルではない。 終末当時その座についていた男、いわばオリジナルの方だ。
ファダニエル、ヘルメス、アモン、アサヒの関係整理
- 混乱しがちなファダニエル、ヘルメス、アモン、アサヒの関係を整理する。
ファダニエル : 私は、アシエン・ファダニエル。 以前も申し上げたとおり、転生組のアシエンです。 ファダニエル : かつて終末の災厄が起きたときに、 ファダニエルの座についていた男…… その魂を継いでいます、理論上はね。 ファダニエル : 私の旧い名は……アモン、と申します。
- 【古代】:当代エルピス所長ヘルメスがファダニエルの座に就任
- 【第三星暦末期】:エメトセルクによりアラグ帝国のアモンを座に引き上げ
- 〔ファダニエルの座〕:空席 → アモン
アシエン・エメトセルク : お前が就くべきファダニエルの座も、ちょうど空いている。 みすみすこの国と心中させるくらいなら、 同志として迎え入れよう。 アシエン・エメトセルク : クリスタルタワーの方には、お前のクローンでも送っておけ。
アモン : 私、ただのアモンとして生きていたころに、 繰り返し見ていた夢があったんです……。 アモン : 当然、妄想だと思いましたよ。 そんな場所は知らないし、私はヘルメスじゃないんですから。 アモン : ……ですが、アシエンになり、 オリジナルのファダニエルの情報を受け取ったとき、 すべてが繋がってしまったんです。 アモン : 私が夢だと思っていたのは、 ヘルメスの……カイロスが消した記憶だったのだと。
グ・ラハ・ティア : あんたがゾットの塔で視たという過去によれば、 アモンがアシエンに召し上げられたのは、 アラグ帝国崩壊の間際だったそうだな。
- 〔ファダニエルの座〕:空席 → アモン
- 【第七星暦】: