ハーバーヘラルド

ハーバーヘラルド(The Harbor Herald)

ハーバーヘラルド
Table of Contents

概要

商船乗りがもたらす旬の話題を集めたリムサ・ロミンサのグローバル情報誌。裏付けなしの海賊の自慢話から、切り口鋭い外交官の海外情報まで、記事の質は玉石混淆。海洋貿易の中継地である立地を活かし、国際情勢や世界経済に強いのが売りとされる。

我らが母なる海はすべての陸に通じ、我らが家たる船は遠き隣人の声を運ぶ。 さて、今週リムサ・ロミンサに入港した船は、どんな報せを届けてくれたのだろう? 港を泳ぐ最新の話題を、船乗りの情報誌『ハーバーヘラルド』が釣り上げる!

ピーター・ウィンソム

ピーター・ウィンソム
  • ハーバーヘラルドの記者ピーター・ウィンソム(Petyr Winsome)が、2011年8月末に一部ワールドに現れ取材活動を行っているところを目撃されている。
  • それによれば、ヒューランミッドランダーのヒゲタイプであり、未実装のオリジナルデザインの装備を身に付けている。人気は同時期に出現した週刊レイヴンのキピ・ジャッキヤ記者に劣っているようだ。ラザハン出身との噂もある。

レムム

レムム
  • FF11コラボイベントにて登場。
  • ララフェル女性。
    私、情報誌「ハーバーヘラルド」の記者で、レムムといいます。
    突然ですが、冒険者さん……取材に同行してもらえませんか?

バックナンバー

  • 旧ロードストーンに掲載されていたもの。
    • 元々は旧FF14運営時に公式サイトロードストーンに掲載されていた記事です。
    • 旧FF14のサイトが一斉に削除されることになったため、その中でも資料的内容が多く含まれていたリムサ・ロミンサの「ハーバーヘラルド」、ウルダハの「ミスリルアイ」、グリダニアの「週刊レイヴン」のページについて、旧FF14を知らない層に向けて保存目的で引用したものです。
    • 当然ながら、著作権は株式会社スクウェア・エニックスに帰属します。

Vol.1:「黒渦団イシュガルド攻略へ!?」~山岳戦での勝算は?沈黙を続ける都督~

波止場にはためく龍船旗
我らの母港が様変わりしつつあるってことに、気づいていない船乗りはもぐりだ。
なに、港はいつも変化してる? いや、確かにそうだが、近ごろのはちょっと毛色が違う。
そう、街中ではためく「赤地に黒のロングシップ」の軍艦旗、あの「龍船旗」の話だ。
グランドカンパニー「黒渦団」設立に伴う士気高揚のためとかで、軍のお偉方が決めたらしいが、ここは腐っても自由港だ。雄々しい旗を見て気分が高揚する向きもあるだろうが、苦々しく思う反骨精神旺盛な御仁も少なくないことだろう。
そもそも一体全体、メルウィブ都督率いる黒渦団は、我が国の武力を結集して、何をやらんとしているのか? その真相に近づく極秘資料を幸運にも入手できた。

イシュガルド揚陸作戦?
まず下の図を見てほしい。これは本誌取材班が独自ルートで入手した黒渦団の内部資料だ。情報提供者によれば、これはイシュガルドの騎兵団が、ゼーメル要塞奪還作戦に参加する傭兵に配布したものの写しらしい。


【ゼーメル要塞A地区作戦図】
ゼーメル要塞A地区は構築の途上である。壁面はほぼ天然洞窟のままであり、危険な場所も多い。
不用意に、作戦領域外に足を踏み入れることを固く禁ずる。
現時点では、洞内に立て籠もった侵入者が、どのようなトラップを仕掛けているのか、不明な点が多いからだ。
だが、作戦図を頭に入れ、命令を忠実に実行すれば、姑息な侵入者など恐るるに値しない、と約束しよう。
諸君らの賢明な活躍に期待する。

I 「チョコボ房入口」 内部の内装工事中、侵入者の銃撃を受け、我が軍の採掘師多数が落命している。
II 「虎口」 殺人孔や騎士隠しが設置される予定であった。
侵入者が、ここに伏兵を置く可能性は高い。
III 「大広間入口」 要塞各部へと至る大広間へと続く門。
侵入者が、ここにトラップを仕掛けた可能性は高い。


ゼーメル要塞といえば、イシュガルドが建造中だった対龍要塞だ。だが、地図の但し書きに記されている、銃で武装した侵入者は、易々と要塞に侵入し、占領している。
我が国の陸戦隊以外に、そのような作戦をやってのけられる、火器で武装された軍隊があるだろうか?
……ひとつだけある。そう、ガレマール帝国軍だ。
先日刊行された拝金雑誌『ミスリルアイ』のスクープ「ゼーメル要塞、陥落!」。いつもの投機を煽る憶測記事かと思っていたが、どうやら今回ばかりは本当だったらしい。

それにしても、このイシュガルドの軍事機密の写しを、黒渦団が用意している理由とはなんだ?
ここからは想像に過ぎないが、黒渦団は同要塞の調査を名目にして、帝国の軍事力を探り、あわよくばイシュガルド領の攻略をも視野に入れているのではあるまいか?

未曾有の国難に備えて設立された黒渦団。はたして、その力はどこに向かうのか? 帝国との直接対決の切り札なのか、それとも混乱に乗じてエオルゼアに覇をとなえる武力なのか……
まずは、そのお手並み拝見といったところだ。

ユマ・モルコット

Vol.2:「来たれ冒険者!」~黒渦団、一大募兵キャンペーンを展開!~

黒渦団の募兵キャンペーン
街中にはためく真紅の「龍船旗」も見慣れちまった今日この頃。今度は黒渦団の連中が街頭に繰り出して、「グランドカンパニー復古祭」と題した冒険者相手の募兵キャンペーンを開始した。
奴らが大声でわめきたてる勧誘の口上ときたら、産卵期のアプカルの鳴き声に匹敵するほど、二日酔いの頭にガンガン響きやがる。そんな訳で、今回は黒渦団の思惑について、若干の恨みをこめつつ伝えていこう。

冒険者を勧誘せよ!
そもそも、軍のお偉方が冒険者に熱を上げているのは何故か? それは、我がリムサ・ロミンサの海軍偏重主義に原因があるといえるだろう。
古来より、リムサ・ロミンサでは有力海賊が競い合い、国を導く「提督」を決めてきた。そして、提督となった者が率いていた海賊団が国軍「バラクーダ騎士団」の中核となり、有事の際には国を護るために戦う。こうした伝統は、海軍こそが軍の花形という文化を作り上げる結果になった。
もちろん騎士団の各艦隊には、それぞれ陸戦隊が付随している。イエロージャケットを纏った彼ら陸戦隊の実力は、知っての通りなかなかのものだ。だが、船上戦闘や強襲揚陸には長けていても、陸上での長期の行軍や大規模な会戦となれば話は違う。海には海での戦い方があるように、陸には陸での戦い方があるってことだ。
読者諸兄には、冒険者と聞くと「すぐに船酔いになる情けない連中」を思いうかべる御仁もいるかもしれないが、そいつはフェアとはいえないだろう。彼らはクルザスの山岳部から、鬱蒼とした黒衣森、そしてザナラーンの荒野と世界各地を渡り歩いてきた経験がある。確かに船に乗れば三秒でゲロをはくかもしれんが、陸の上での戦いにかけちゃあエキスパートってことだ。 おおっと、この記事を読んでいる冒険者諸君。ゲロの件で気を悪くしないでくれたまえ。ここリムサ・ロミンサは、腕っ節と気合こそがものを言う「海の都」だ。多少の船酔いなんざ問題じゃあない。我ら海の民と君たち冒険者が手を組めば、腐れ帝国人共のケツを蹴り上げるのも訳がないってもんだ。勝利の祝杯で酔いつぶれるためにも、黒渦団の「龍船旗」の下で共に戦おうじゃないか!

ユマ・モルコット

Vol.3:「愛しのマイチョコボ」~イシュガルド遂にチョコボ輸出再開へ~

ある少年の失望
昔話をしよう。私の父は港の荷運び人で、稼いだ金は片っ端から酒に費やす最低の飲んだくれだった。そんな父が、どういう風の吹き回しか「チョコボの卵」を買ってきたことがある。私がチョコボをほしがっていたからだ。
大喜びした私は、懸命に卵を温め続けた。そして2週間後、生まれたのは丸々としたドードーのヒナ……。幼かった私は大いに失望したが、大人になった今なら解る。チョコボの卵は、飲んだくれ風情に買える代物じゃないとね。

チョコボ輸出再開
エオルゼアにおけるチョコボの一大産地、イシュガルド。事実上の鎖国政策を布く同国は、チョコボ数の減少を理由に、その輸出を長らく制限してきた。ところが、このほど輸出の再開を決定。この話題に喜んだのは、チョコボ不足で苦境に立たされていたレンタルチョコボ屋たちだけではない。何せイシュガルドに対して輸出の再開を働きかけたのは、黒渦団をはじめとする三国のグランドカンパニーなのだ。
帝国軍の動きが活発化している現状では、広範囲を素早く偵察できるチョコボ騎兵の存在は重要だ。そこで各国は共同でイシュガルドと交渉し、輸出再開を認めさせたらしい。
とはいえイシュガルドの連中も馬鹿ではない。輸出対象をオスに限定して、他国が繁殖できないようにしているのだ。この問題に対しては今後も交渉を続けるという話だが、もう一方で別の動きもある。
どうやら黒渦団からナルディク&ヴィメリー社に対し、チョコボ用の新式装甲の設計が依頼されたらしい。チョコボの装甲化を進め、陸上戦力の強化を図る狙いだろう。
新式装甲の重チョコボ騎兵……想像するだに何とも勇ましいではないか。思わず子供の頃を思い出し、マイチョコボがほしくなるのも無理ない話だろう?

ピーター・ウィンソム

Vol.4:「巨艦進発!」~メルウィブ提督号令を発す~

黒渦団、正式発足を発表!
「グランドカンパニー復古祭」と題して募兵キャンペーンを敢行するなど、設立準備を進めていた黒渦団が、このほど「宣誓式」を開催。メルウィブ・ブルーフィスウィン提督自ら式典にて、黒渦団の設立を正式に宣言した。
ちょっとしたハプニングもあった宣誓式の様子を、さっそくお伝えしよう。

嵐の中の出港
宣誓式の会場となったのは、ミズンマスト上層「アドミラルブリッジ」内の作戦指揮所。収容人数の関係で式典への参列は希望者の中から抽選という形になったが、その倍率たるや凄まじく「海賊王霧髭の隠し財宝を見つけるほうが楽」と囁かれるほど。幸運にもその栄誉に預かることができた市民たちは、普段は入ることができない政治の中枢の雰囲気に、皆一様に緊張した面持ちであった。
いざ式典が開始されると、メルウィブ提督その人が現れて颯爽と登壇。リムサ・ロミンサを建国船「ガラディオン号」にちなみ「巨艦」に例えつつ、市民に対して団結を呼びかけたのだ。
その最中、海賊らしき男が暴れる一幕があったものの、提督はこれを軽くあしらい、何事も無かったかのように悠然と演説を続けて見せた。荒くれ共が集う海賊団「シルバーサンド一家」を率いていた経歴は伊達じゃないってワケだ。さらに提督は、「我らの艦砲射撃にて帝国を撃破し、黒き渦へ沈めてやろう!」と熱弁。その勇ましい口上には、聴衆も拍手喝さいで大盛り上がり。
とはいえ、帝国はナメてかかれる相手じゃあない。あげくに巷には、「第七霊災」が近いとかいう不吉な噂さえ広まりつつある。問題山積のこの状況は、まさに嵐で時化た荒海の如しだ。いかにして、この荒波に耐えて突き進むのか、我らが女提督の「舵取り」に注目が集まっている。

ユマ・モルコット

Vol.5:「麗しのマイチョコボ」~チョコボ用新式装甲、増産体制に移行~

ウラヌス号の悲劇
昔話をしよう。今より遡ること約100年、第六星暦1468年。アラミゴ軍がグリダニア領との国境に位置するベロジナ川を渡り、ティノルカ東部の領有権を主張した。軍事国家「アラミゴ」による対グリダニア侵略戦争として知られる「紅葉戦争」の幕開けである。
この戦争は、翌年にアラミゴの覇権主義を警戒したリムサ・ロミンサウルダハイシュガルドの三国が援軍を派遣し、グリダニアと連合軍を結成したことで、守り手側の勝利に終わった。
その最後の戦いとなった第二次ティノルカ会戦の戦場に、ベルトラン・デュランデルという名の若きイシュガルド騎士がいた。俊足の名チョコボ「ウラヌス号」を駆り、斥候を務めていた彼は、見事にアラミゴ軍の別働隊を発見。しかし、敵兵に見つかり矢傷を受けてしまう。
深手を負い、生死の淵をさまようベルトランを鞍上に乗せたまま、ウラヌス号は本陣までの長き道のりを駆け戻った。かくしてウラヌス号は、若き主の命を救ったのである。
さらにベルトランの報告により敵別働隊の動きを知った連合軍は、アラミゴ軍に包囲される危機を脱するや、反転攻勢をかけて歴史的大勝利を飾ったのであった。
しかしながら、ウラヌス号がこの勝利を知ることはなかった。本陣に到達したと同時に倒れ込み、そのまま息絶えてしまったからである。
そう、ウラヌス号もまた矢傷を受けていたのだ。


チョコボ用新式装甲は供給間近?
名チョコボ「ウラヌス号」の命を奪ったのは、側胸に突き刺さった一本の矢だった。
だが、ウラヌス号がナルディク&ヴィメリー社製の新式装甲を装着していたとしたら、その結末は違っていたかもしれない。
グランドカンパニー「黒渦団」からの要請で、チョコボ用新式装甲の開発を進めていた同社は、このほど設計作業を終え、試作品を完成させたようだ。黒渦団筋の情報によれば、既に試着させたチョコボの試し乗りが行われているようで、順次、増産体制に移行する計画だという。
噂では、チョコボの動きを阻害しないよう半甲冑式を採用しているのだとか。それも一種類ではなく、複数種の形状があるという。いよいよ現実味を帯び始めた重チョコボ騎兵構想。その勇姿を拝める日も近いのではないだろうか?

ピーター・ウィンソム

Vol.6:「紅き小月と黄金の谷」~活発化の一途を辿る帝国軍の動き~

流布する噂の数々
小月「ダラガブ」の輝きが、日に日に強さを増し、目に見えて大きくなってきている。
その光が赤みを帯び始めた頃から、凶兆だと噂する者はいた。だが、最近じゃあ、屈強な船乗り連中でさえ、「外洋で嵐が多いのも、ダラガブのせいに違いない」などと根拠のない噂を囁きあう始末。噂といえば、拝金都市「ウルダハ」では、「ダラガブの光が原因の腰痛に効く水薬」などという因果関係も定かではない、怪しげな商品が飛ぶように売れているんだとか。
まったく、どこにでも迷信深い連中ってのはいるもんだ。
イシュガルドの天文学者の説によれば、孫衛星である「ダラガブ」が、我々の大地に接近しているのだという。今は、馬鹿げた噂話にではなく事実を受け止めたうえで、天体の動きではなく、目の前に迫る現実の脅威について論じるべきだろう。そうとも、ガレマール帝国の動向についてだ。

「オーラムヴェイル」に緊張走る
黒渦団筋の情報によれば、クルザス地方のとある洞穴で、帝国兵と思しき一団が目撃されたらしい。地元住民に「オーラムヴェイル」、つまり「黄金の谷」と呼ばれている場所だ。その名は、ミスリル鉱と硫黄の鉱脈が交差したことで生み出された、黄金に輝く洞穴内の景色に由来するが、美しさに騙されてはいけない。ミスリル鉱と硫黄に、熱せられた地下水が交じり合った黄水は、有毒な霧を発生するのだ。
そんな危険な場所に好んで入るのは、猛毒をものともしない魔物か、無知な旅人くらいのもの。では、ガレマール帝国の連中の目的はどこにあるのか。
一説では、帝国の黒鎧どもは、地脈やクリスタル鉱脈を熱心に調べ回っているともいわれているが、未だに真相は不明だ。まがりなりにも軍事拠点だったゼーメル要塞ならともかく、戦略的に重要でもない「オーラムヴェイル」に、コソコソと出入する連中の動きにゃ、何か不気味なものを感じざるを得ない。
今後とも我が「ハーバーヘラルド」では、この一件に注目し、クルザス帰りの冒険者や商人を中心に、取材を続けていくつもりだ。

ユマ・モルコット

Vol.7:「帝国侵攻」~モードゥナに拠点構築か!?~

銀泪湖を覆う帝国の影
ガレマール帝国軍による攻勢が、激しさを増している。
我らがバイルブランド島にも、再三にわたって帝国軍の飛空戦艦が飛来し、降下部隊がキャンプを襲撃するなどしていたのだが、これまでのところグランドカンパニー「黒渦団」や地元民兵、冒険者等の義勇兵の奮戦もあり、撃退に成功してきた。
こうした小さな勝利を以て「帝国恐るるに足らず!」と豪語する輩もいるが、多少頭の回るヤツならこう思っていたはずだ。圧倒的な軍事力を誇るはずの帝国軍が、散発的な攻撃を繰り替えすのはなぜか、とね。

狙うは「青燐水」か「クリスタル」か?
本誌編集部では、先ほど投げかけた疑問の答えとなるかもしれない情報を掴んだ。
黒渦団筋の情報によれば、このほどアルデナード小大陸中央部の湖水地方「モードゥナ」にて、帝国軍が強固な拠点を構築したらしい。
モードゥナといえば、帝国軍は10年前にも大型飛空戦艦を派遣するなど、彼の地の掌握に、並々ならぬ関心を寄せていた。当時は、艦隊旗艦「アグリウス」が、巨大な龍――伝説の幻龍「ミドガルズオルム」だとする説が支配的――によって堕とされたため、帝国軍は撤退を余儀なくされたのだが、今度は拠点の構築に成功したようなのだ。
各都市への散発的な攻撃は、拠点構築から目をそらすための陽動だったのではないか? 本誌編集部の仮説に対して、「黒渦団」の将校たちは「現在、調査中」とのコメントを発するのみで要領を得ない。
それでは、ガレマール帝国モードゥナに拠点を設置する目的とは何か。この点については、魔導兵器用の「青燐水」を確保するためとも、クリスタル鉱脈を狙ったためとも、はたまた別の陰謀があるはずだ等々、識者の間でも見解が分かれている。
帝国の狙いが何にせよ、敵がエオルゼア侵攻の足がかりを得たことだけは確かだろう。黒渦団には、グリダニアの「双蛇党」やウルダハの「不滅隊」との連携を視野に、早急な対応を望みたいものである。

ユマ・モルコット

Vol.8:「シェルダレー諸島渡航制限へ」~各都市の将兵が港に集まる理由とは!?~

港に集まる屈強な将兵たち
最近、リムサ・ロミンサの港にて、屈強な連中がたむろしている姿を見かけたことはないだろうか?
粗野な海賊たちじゃあない。黄色や暗色の軍装をまとい、さっそうと軍靴を鳴らして闊歩する連中……。そう、グリダニアの「双蛇党」やウルダハの「不滅隊」の将兵たちだ。
彼らが何のために、我らが海都へやって来たのかといえば、各都市のグランドカンパニーによる合同訓練に参加するためにほかならない。シェルダレー諸島に属すふたつの無人島、亀甲島とロックスライ島に魔物を解き放ち、実戦形式の「特殊戦教練」を行っているんだとか。
これまで遠洋漁業の中継地として、これらの島々を利用していた網倉の漁師たちは、渡航制限を受けて少なからず難儀しているという話だが、危険な魔物を使った訓練は隔離された場所でやるに限る。黒渦団のお偉方も、うまいこと考えたもんだ。

民間にも広がる協力体制
島を明け渡した漁師たちのほかにも、グランドカンパニーに協力している人々がいる。
たとえば、先日、大手貿易商会の「ブルゲール商会」は、大量の武器をグランドカンパニーに無償提供したと発表した。それも普通の武器じゃあない。
ここ最近の武器価格の乱高下を受けて、遙か海の向こうサベネア島の自由都市「ラザハン」から特殊な武器を輸入したそうだ。なんでも、彼の地の石工たちが巨人石(※)を削って創り上げた、伝統的な近東様式の武器なんだとか。筆者は、港での取材中に訓練帰りだという「双蛇党」の士官から、真新しい石剣を見せてもらったが、なかなかの業物に見えた。
ガレマール帝国との決戦を前に、にわかに広がりを見せ始めた協力の輪。この輪をさらに広げ、各々の力を結集すれば、必ずやエオルゼアは勝利を得ることができるだろう。

ユマ・モルコット


【巨人石】
サベネア島で採石される硬度に優れた天然石。その名は、島に伝わる伝承に由来する。
はるか昔のこと、島を荒らす巨人を、東方からやってきた英雄が激闘の末に打ち倒した。すると、その血と胆汁を浴びた岩が巨人の力を帯び、「巨人石」に変わったのだという。

Vol.9:「異邦の詩人 騒乱罪で逮捕か」~警戒を強めるリムサ・ロミンサ当局~

消えた異邦の詩人の行方
「異邦の詩人」という名に聞き覚えはないだろうか?
そう、どこからともなく現れ、辺境のレッドルースター農場にいついていた謎のさすらい人のことだ。

銀の装飾具で着飾り、大ぶりの竪琴を背にした風体……、そして何より、人々に語りかける妙な「詩」から、いつの頃からか「異邦の詩人」と呼ばれるようになっていたこの人物が、最近、忽然と姿を消してしまったらしい。
流れ者が消えたというだけの話なら、わざわざ記事にするまでもない。
だが、バラクーダ騎士団の陸戦隊「イエロージャケット」が、彼を逮捕したのだとしたらどうだろう? 俄然、興味がわいてくる話じゃないか。

誤認逮捕か、お手柄か?
逮捕現場を目撃したという農場の園芸師曰く、話はこうだ。
その日も「異邦の詩人」は、熱心に冒険者に語りかけたり、手紙を書いたりしていたという。だが、突然、強面のイエロージャケット共が押し寄せてきて、「騒乱罪」の容疑だと宣言してとっ捕まえたんだとか。

冒険者たちの証言によれば、件の「詩人」は、詩を交えながら「第七霊災」に関する警告を発していたという。ここのところ、「第七霊災」や「ガレマール帝国」がらみでピリピリしていたイエロージャケットの過剰反応なのか、はたまた本当に彼が危険人物だったのか……。
ことの真相は分からないが、ともかく逮捕の一件以降、レッドルースター農場では、「詩人」のシンパがいないかと衛兵が目を光らせているらしい。今後しばらくの間は、衛兵の前で「第七霊災」がらみの話題をふるのは止したほうがいいだろう。もっとも、詩人と同じようにコーラルタワーの牢獄にぶち込まれたいというのなら、話は別だが……。

ユマ・モルコット

Vol.10:「出征兵士を送る風」~連合艦隊ベスパーベイに向け出港~

リムサ・ロミンサ連合艦隊進発
薄もやの立ちこめた早朝の港は、いつになく緊張感に包まれていた。
漆黒の提督服を身にまとったメルウィブ提督が、メインマストに深紅の「龍船旗」を傾げた巨船に乗り込むためタラップを登ってゆく。黒渦団の総旗艦、「トライアンフ号」。ナルディク&ヴィメリー社が建造した最新鋭のガレアス船だ。
その船倉と甲板には、提督の乗船を今や遅しと待つ多くの陸兵の姿があった。一足先に港を出て、洋上で待機していた大小総計28隻の船においても、同様の光景が見られたことだろう。黒渦団バラクーダ騎士団、そして海賊諸派が派遣した船からなるこの大船団は、総旗艦「トライアンフ号」の合流をもって「リムサ・ロミンサ連合艦隊」となり、初陣の時を迎えるのだ。

いざ征け決戦の地へ
彼ら「連合艦隊」が目指すのは、ザナラーンの「海の玄関口」であるベスパーベイだ。
当地にて、提督自らが率いる遠征部隊の第一陣は、アルデナード小大陸へと上陸し、ウルダハの「不滅隊」とグリダニアの「双蛇党」の軍勢と合流する。その後の行程について、黒渦団軍令部は固く口を閉ざしているが、ガレマール帝国が進出しているモードゥナ南方のカルテノー平原を目指して軍を進めるだろうというのが、大方の見方だ。
そう、いよいよエオルゼア都市軍事同盟は、ガレマール帝国と決着を付けるつもりなのである。

この日の朝、「連合艦隊」は母港リムサ・ロミンサを後にした。
だが、これに続く第二陣の編成も、着実に進められているようだ。その中核となるのは、冒険者によって構成された「特殊陸戦隊」、陸戦のエキスパート集団として知られる部隊である。現在、各地に出没している帝国軍部隊の迎撃任務についている彼ら冒険者部隊が加われば、黒渦団最強の布陣が完成するだろう。
となれば、あとは運を天に任せるだけ。戦場に赴く海の強者たちに、リムレーンの祝福があらんことを!

ユマ・モルコット


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