エーテル学

エーテル学(Aetherology)

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概要

  • エーテルとは、すべての生命の源であり、魔法の原動力ともなる一種の生命エネルギーである。
  • この世のもっとも基礎的な構成要素となるものである。
  • このエーテルについて体系づけられたものが「エーテル学」である。
    • 世界設定本 1巻 008ページ

生命の源

  • ハイデリン世界において、人も獣も、そして樹木であっても、すべての生命はその存在の内側に「エーテル」と呼ばれる生命エネルギーを宿しているとされる。逆に言えば、肉体からすべてのエーテルが抜け去った時、命は消え、死の底へ転げ落ちてしまう。
  • そうした意味において、命とエーテルはほぼ同義の存在と言える。
  • 例えば健康な人の肉体には多くのエーテルが宿っているが、飢えや病気で衰えると、比例するように体内エーテルの総量も減少する。あるエーテル学者が提唱している学説によれば、生物が食事を摂る際には、栄養素と同時に食材からエーテルそのものをも摂取しているという。
  • そしてこのエーテルは、我々が暮らしている星そのものにも流れていると考えられている。大地に流れるエーテルの奔流「地脈」や、風と共に大気中を巡る「風脈」、これらが断たれれば、その土地の生命は死に絶え、新たな生命が生まれることもなくなるだろう。エーテルがしばしば「星の血液」と称されるのもそのためである。

魔法の原動力

  • 魔法とは、生命エネルギーであるエーテルを用いて、超常の現象を生じさせる技術である。
    マーティン : そもそも魔法とは術者が祈りや願い、つまり意思の力で、
    エーテルを操作し、超常の現象を引き起こす技術の総称だ。
  • 幻術や呪術など、それぞれの魔法体系により、エーテルを「現象」に変換するための方法論は異なるが、すべての魔法がエーテルを原動力としていることには変わりがない。
  • またある種の獣や魔物が火や雷といった元素(エレメント)の力を操り、狩りや身を守る手段として用いることがあるが、これもエーテルを利用して現象を生じさせているという意味において、原始的な魔法であると言える。

その他の魔法

巴術士
巴術士は、生命と無機物の中間的な存在と考えられている「宝石」に魔力(エーテル)を注ぎ込むことで使い魔カーバンクルを創り出す。
赤魔道士
赤魔道士は、第五星暦の末に起こった「魔大戦」での環境エーテルの濫用から天変地異の大津波により第六霊災が引き起こされた反省に基づき、環境エーテルによらず、術者が体内にもつ魔力のみでの魔法の行使を目指して体系化された魔法である。
シ・ルン・ティア : 赤魔道士は、己に宿る魔力のみを用いて魔法を使う。
自然界のエーテルを用いる黒魔法と白魔法は、禁忌とされたからだ。
限られた魔力で、より強力な効果を得るために、
先人は魔紋にくわえ、剣技の「型」で術式を形成する方法を採った。
……いわば肉体そのものを、魔力の加速器と化すわけだ。
青魔道士
青魔道士は、獣や魔物が用いる魔法を己のものとする術である。
マーティン : 魔法発動の鍵となる意思の力……
すなわち獣や魔物の敵意を身に受け、魔法現象を引き起こさせ、
その上で相手を斃し、命の源たるエーテルを吸収する!

六大元素

  • エーテルには、火・風・雷・水・氷・土の六大元素の属性が宿っており、自然界に対して様々な作用を与えている。
  • 例えば、その土地に流れるエーテルが火属性に寄っている場合、周辺一帯は乾燥し、気温も高くなる傾向がある。逆に氷属性が強い地域では、寒冷化が進み極寒の世界になっていく。
  • これは土地だけに限った話ではなく、生物に関しても同様である。風属性のエーテルを捉える能力によって空を舞う生物や、土属性のエーテルを体内に溜め込むことで鱗を硬質化させる生物も存在する。

極性

  • これらの元素に対しては、「極性」という力も作用する。
  • 「極性」とは星極性と霊極性と呼ばれるもので、前者の星極性に寄れば激しく活発な動的作用を生み出し、後者の霊極性に寄れば鎮まり静的な作用を生み出す。
  • 例えば同じ火属性でも、星極性に偏った場合は、激しく燃え盛る発火現象を起こす一方、霊極性に偏った火属性の力は、乾燥した状態を創り出す。

六属創世記

  • 創世の神話を記した書物「六属創世記」では、六大元素が成立した過程を、強弱の相関関係で示しながらよく表している。
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クリスタル

  • エーテルを宿した生物が死亡すると、体内の属性バランスが崩壊し、優性な属性が結晶化することがある。
  • また戦いなどを通じて激しく命を散らした場合、魂を構成していたエーテルが、後述する「エーテル界」に還元されることなく「物質界」に残留し、結晶化することがある。
  • また地脈が物理的に貫かれることで、大量のエーテルが噴出し、結晶化するといった現象も確認されている。
  • このように何らかの理由により結晶化したエーテルを「クリスタル」と呼ぶ。
  • クリスタルは、一種のエネルギー塊であると同時に、多くの場合は属性の力を帯びているため、様々な用途に用いることができる。
  • 例えば火属性のクリスタルであれば、火力を増す作用があるため、鉱物を溶かして金属にする冶金術において重宝する。また水属性や氷属性の力を帯びたクリスタルで生鮮食品を冷やし鮮度を保つといったことも可能である。
  • なおクリスタルは、生命エネルギーの塊ではあるが、あまりにも純度が高いうえに属性に偏りを生じていることが多いため、これを直接摂取することは厳に避けなければならない。無理に摂れば、体内の属性バランスが崩壊し命に関わる事態になるだろう。

物質界とエーテル界

  • 我々、人が暮らしている世界を、エーテル学では「物質界」と呼ぶ。これに対して、不可視のエーテルで充たされた「エーテル界」と呼ばれる領域が重なり合うように存在すると考えられている。
  • 物質界で暮らす生命が命を散らすと、その魂を構成していたエーテルはエーテル界へと還る。逆に生命が誕生すると、エーテル界から生命エネルギーが物質界へと流れ込む。これが生命の循環と呼ばれる現象である。
    ミンフィリア : わたしたちが生きている「物質界」で生命が死ぬと、
    通常、その魂であるエーテルは砕け散り、「エーテル界」へと還ります。
    ミンフィリア : そして、「エーテル界」に揺蕩うエーテルが、
    「物質界」に降り、新たな生命が誕生するの。
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  • つまり、物質界とエーテル界は互いに影響を及ぼし合う関係にあり、決して単一では存在し得ない。物質界における大地であろうと、空であろうと、そこには必ずエーテル界が重なり合っており、不可視のエーテルが流れている。
  • この「環境エーテル」と呼ばれるものが濃ければ濃いほどその土地はエネルギーに満ちあふれ、多くの生命が生まれる傾向にある。逆に環境エーテルが枯渇したり、その属性の力に偏りが生じれば、生物が死滅したり寒冷化や高温化などの気候変動が発生したりする。

地脈と風脈

  • 環境エーテルのうち、大地と重なり合う奔流を「地脈」、空と重なり合う奔流を「風脈」と呼ぶ。
  • そして、これらは古くから「テレポ」や「デジョン」といった転移魔法に利用されてきた。魔法によって肉体を一時的にエーテル化して地脈や風脈の流れに乗せ、遠く離れた場所で再物質化することで、「転移」を成し遂げるのだ。

    すべての生命の源、魔法の原動力、そして星の命脈とされる星気体「エーテル」。 ミコッテの神秘学によれば、我々が目で見て、手で触れることのできる「物質界」と重なり合うように、エーテルたゆたう「エーテル界」が存在しているという。 海に海流があるように、「エーテル界」のエーテルもまた絶えず流れている。これが大地を流れる「地脈」と呼ばれるものだ。 (アルバクの天眼鏡)

  • ただし、転移魔法を安全に利用するには、地脈や風脈の流れが集まる結節点に、クリスタル製の魔法装置「エーテライト」を設置する必要がある。港の場所を示す灯台がなければ船が遭難してしまうように、この装置がなければ目的地を見失いエーテルの奔流を永遠に彷徨うことになりかねないのだ。
    ムーンブリダ : そもそも、エーテライトっていうのは、
    夜の海原で港の位置を報せる灯台のようなものさ。
  • なお地脈や風脈の結節点は、必然的に環境エーテルの濃度が濃い土地となる。それは、人や生物によって住みやすい環境であることを示しており、古くから街や村が形成される傾向が強い。集落に移動手段としてのエーテライトが配置されやすいのは、こうした理由があってのことである。
  • なお現在稼働しているエーテライトの多くがシャーレアンの民によって造られたものだが、しかしエーテライトを発明したのは彼らではなく、遠い古の時代に創られたものを再現したに過ぎない。

惑星ハイデリンとマザークリスタル

  • 過激な学者の中には、地脈や風脈を通じて生命エネルギーであるエーテルを巡らせている惑星「ハイデリン」は、体内にエーテルを宿している点から考えて一種の巨大生命体と言えるのではないかと主張する者もいる。彼らに言わせれば、預言者や英雄がしばしば不思議なビジョンを視ることがあるのも、生命体としてのハイデリンと交感し、意思を通わせたからだという。
  • 眉唾物の主張ではあるが、多くの神話や歴史書に「星の意思」、あるいは「光の意思」に導かれたとされる人々についての記述が残されていることもまた事実である。

星海の研究

  • 学術都市シャーレアンでは、はるか昔から星の運命を知ろうと研究を重ねてきた。
  • 中でもエーテル学者たちは、星の中心に近づけば近づくほど物質界とエーテル界の境界があいまいになり、真の中枢に至ることができれば、可視化したエーテル界を直接観測できるのではないかと考えた。このような仮設に基づき、彼らは低地ドラヴァニアの地下を掘り進め、濃い地脈が流れる大空洞に至ると、その場に魔法施設「逆さの塔」を建設した上で、魔法的処理によってエーテル界への窓を開いた。
  • 彼らは可視化したエーテル界を「星海」と呼び、その底にあると考えられている「マザークリスタル」との接触を試みたという。

蛮神の召喚

  • 巴術士などの一部の魔道士たちは、自らのエーテルによって魔法生物を創り出し使い魔として使役する。
  • だがこれとは全く異なる原理でクリスタルを捧げ、信仰心を糧とすることで「神」を呼び降ろす儀式が存在する。このような「神降ろし」によって召喚される人智を超えた強大な存在をエオルゼアの古い言葉で「荒神」と呼ぶ。だが近年ではガレマール帝国風の言い回しである「蛮神」と呼ぶ方が一般的だろう。
  • こうして物質界に顕現した蛮神は、召喚した信者たちに対して加護を与え、その肉体や魔力を強化する。さらに信者でないものに対してエーテルを浴びせることで強制的に感化させ「狂信者(テンパード)」に造り変えるという。蛮神との戦いでは常にこのテンパード化のリスクがあるため、勝ち得たとしてもかなりの犠牲がつきまとうのだ。
  • さらに問題なのは、一度討伐したとしても、クリスタルさえ用意すれば容易に再召喚できるという点である。
    ミンフィリア : だけど、蛮神は例外……。
    地に満ちたエーテルであるクリスタルを喰らう蛮神は、
    その肉体までもがエーテルで構成されている。
    ミンフィリア : だから、倒すことで肉体は砕け、
    そのエーテルは大地へと還元されてゆく……。
    それでも魂だけは、エーテル界に還ると考えられているわ。
    ウリエンジェ : 信者の願いが、神の魂を星海より招き、
    クリスタルが、神の肉体を造る……。
  • また顕現を維持するための環境エーテルを吸い続けるため、蛮神召喚が相次げばその土地は生命が生まれない「死の大地」と化してしまう。過去には、そのような現象により滅び去った地域もあるようだ。

参考

  • ナショナルジオグラフィック日本版サイトでのインタビュー記事において、世界設定班の織田氏が「エーテル」についてのインスピレーションを得た経緯について語っている。

     特集では脳死を扱っていましたが、自分が脳死状態になったとき、臓器提供できるか自問してみたところ、簡単には答えが出なかったんです。当時、子どもが生まれたタイミングでもあったし、非常に考えさせられました。医学が進歩するほど、生と死の境界が曖昧になってきているような実感が自分の中にあったのですが、特集で語られていた「死は瞬間ではなく、プロセスである」という考え方が、強く印象に残ったんです。
     『FF14』はファンタジー作品ですから、現実世界とは異なる法則が存在しています。登場キャラクターを含めて、すべての生命体には、「エーテル」という生命エネルギーが宿っているという設定も、そのひとつです。そして、「魂」もまた「エーテル」によって形作られていると説明してきたのですが、微妙に曖昧さも残されていました。そこで物語が進んでいく過程で、「魂とは何か」について考えていく必要性が生じたときに、先述の特集記事で脳死に至るプロセスとして、「短期記憶」、「認知機能」、「運動機能」、「感覚」、「呼吸と循環」という順で、機能が喪失していくと説明されていたことを思い出したのです。
     その結果、『FF14』の作品世界における生命体に宿ったエーテルとは、「記憶のエーテル(短期記憶)」、「魂のエーテル(認知機能)」、「生命力のエーテル(運動機能、感覚、呼吸と循環)」で構成され、そのひとつでも失われれば大きな問題が生じるという考え方にたどり着きました。

  • この発言をまとめると次のようになると思われる。
    FF14での概念現実世界での概念
    記憶のエーテル短期記憶
    魂のエーテル認知機能
    生命力のエーテル運動機能
    感覚
    呼吸と循環

関連項目