interview/2009.08.07 ファミ通インタビュー
2009.8.7 ファミ通掲載インタビューの抜粋
- いくつかの世界設定が公開されましたが、この世界の中で、柱となる何らかの物語が展開して いくのでしょうか? 河)はい。やはり「FF」である以上、物語は外せない要素です。ゲームの中心となる部分ですし、クオリティーも現世代機にふさわしいものになると思います。内容のほうも、冒頭から「こんなテンションでいくんだ!?」と感じていただけるような、濃いものになっていますよ。
- ゲーム中では、気候や天候、昼夜といった要素は反映されるのでしょうか? 河)もちろん、雨も降れば風も吹きますし、昼夜の動きもあります。気候についても、この地方 だとこの天気が多いといった、特徴を持たせる予定です。
- 現実の時間の流れと、ゲーム内での時間の流れの差はどのくらいのものになりますか? 河)エオルゼアでの1日は現実の1時間前後ですね。 田)今後の調整で、多少変化はあるかもしれないですが、現実が夜なのでエオルゼアもずっと夜 、みたいなことにはならないです。 河)僕たちが一番に考えているのは、いつも同じ時間帯で遊んでいるプレーヤーの皆さんが、毎 日のプレイに変化を感じられるようにするということです。「FFXIV」は、1日に短時間しか遊べ ない人にも楽しんでいただきたいので、たとえば、同じ時間にログインをしたけれどエオルゼア での時間は昨日と違う、というようなタイムスケジュールにできればと思っています。
- なるほど。ではつぎに、この世界での人々の生活に関する質問です。まず、エオルゼアに通貨 はありますか? 河)当然存在します。 田)やはり“ギル”ですね(笑)。 河)そういえば、ほかにも通貨を出したいといった話もありましたね。でも、ギルが基軸通貨で ある点は不動かな?(笑)
- 時代背景の設定文に、“天空を航行する戦艦”という記述があるのですが、こういったものも 含めて、さまざまな移動手段が存在すると考えてよろしいでしょうか? 河)プレイヤーのみなさんにどのタイミングでどう提供するかはともかくとして(笑)、ぜひ期待 していてください。
- “都市国家”という言葉が使われていますが、これはどういった形態の国なのでしょうか? 河)各々の都市を中心とした独立国家群というイメージですね。単に国家という枠だと範囲が広 すぎるので、もう少し小さな単位でやりたいなと。そこで、“都市国家”としました。ですから 、国どうしの争いや領土といった話は薄めてあって、その都市の中で暮らしている人々にそれぞ れのストーリーがある。そういった形を目指して制作を進めています。
- 冒険者はその都市国家にどう関わってくるのですか? 河)最初に都市国家、と言うより“組織”ですね。そこに所属することになります。とはいえ、 そんなに大げさなものではなく「どこから始めますか?」程度のものですので、気楽に選んでく ださい(笑)
その組織は複数あるのでしょうか? 河)そうですね。冒険者が行く先々で、いろいろ出てくる予定です。
- 各種族に、見た目以外の違いは存在しますか? 河)もちろん、いろいろな要素を考えています。ただし、プレイヤーの方があまりそこを気にさ れて、キャラクター作成時にあれこれ悩むようなことは避けたいと思っています。こんなキャラ クターで自分はプレイしたい、という部分を設定できるようにしたいですね。
- 種族間の能力差はあるのでしょうか? 田)種族によって能力差が大きくなりすぎると、自分の好きな方向に育てにくくなったりするの で、うまくバランスを取りつつ、個性を出していきたいですね。
- 初期能力で、自分で決められる部分はありますか?それとも、種族で決定されるのでしょうか ? 河)そのどちらも影響してくると思います。
- プレイヤーキャラクターとして登場する5種族以外の種族は存在するのでしょうか? 河)当然、敵となる勢力がいます。そのへんはお楽しみにということで(笑)。
- 解説文を読むと、ヒューランという種族には“ミッドランダー”と“ハイランダー”、ミコッ テには昼行性の“サンシーカー”と夜行性の“ムーンキーパー”といった種類があるようなので すが、これはゲーム中にも反映されてくるのでしょうか? 河)それはいまのところ秘密で(笑)。 田)「何かあるのかも?」程度に考えておいてください(笑)。
- では、話題を変えまして(笑)。キャラクターグラフィックについてですが、細かな縫い目の表 現や着衣の質感など、ものすごい描き込み具合で驚かされました。 河)僕らも、ものすごい描いてるなあと感心しています(笑)。 田)ポリゴン数的には、7年まえくらいのものとほとんど変わらないか、それに毛が生えた程度 なんですよ。
何か特別な技術があるのですか? 河)ノーマルマップ(※低いポリゴン数でも高ポリゴンモデルとほぼ同等の表現力を実現するモ デリング技術のひとつ)と呼ばれるものに描き込んでいって陰影などを設定するわけですが、も う職人芸の領域なんですよ。そこにずっとこだわって作っているスタッフが多いんです。 田)ハードの進化もありましたしね。
- 武器や道具が重要な意味を持つシステムですが、防具などそのほかの装備はどういった扱いに なりますか? 田)もちろん防具などの装備も、それぞれ意味があるものになります。現在装備している武器や 道具のスキルに対して、より特化した能力を発揮したければ、それに合わせたコーディネートが 必要になるといった感じですね。
- では、複数の武器を使いこなしたい場合は、それに合せた装備をすべて持ち歩く必要があるのでしょうか? 河)そうなりますね。とはいえ、さほど影響のない状況ならば、おなじ装備を着回していてもとくに問題はありません。ただし、“その武器には向きませんよ”という装備はどうしても出てきてしまいます。
- となると、持ち歩ける装備品の数が気になります。 河)数を制限してバランスを取るつもりはないので、ご安心ください。スタイルを自由に変えられるように、ある程度は持ち歩けますし、まとめて装備を一気に変えられるなど、システム的なフォローもしていきます。
- キャラクターレベルやステータスは存在しますか? 河)手に持ったもののスキルが成長していくというのが、いちばんのメインになると思います。
- 「FFXIV」では、「FF」シリーズでおなじみとなっている、ジョブという概念はないのでしょうか? 河)そうですね。現在思い描いているイメージとしては、ジョブの形をプレイヤーが自由に決めるというのが近いです。たとえば、“剣術士”というスキルがありますが、これだけでも単体では遊べるものにはなっています。ただ、「今日はひとりで遊びたいな」といった場合に、剣術士のスキル以外に、ソーサラーの中の回復魔法が使えるクラスをあらかじめ育てておけば、ソロで遊びやすいスタイルにもなれるわけです。スキルを選ぶこと自体がひとつのジョブデザインですが、そこにどういう“アビリティ”をつけて遊んでいくのかという部分で、プレイヤーの個性を出せるように設計しています。また、やりたいことを思い立ったそのときに、ストレスなくすぐに遊んでもらうために、“武器をチェンジする”という行動のみで職能を変えられるようにしました。
- これまでの「FF」シリーズにあったような、戦士や黒魔道士、白魔道士というようなジョブは……? 田)それは今回あえて避けていますね。 河)「FF」シリーズでおなじみのジョブを入れてしまうと、スキルの組み合わせが縛られてしまう、という考えがありました。プレイスタイルや育成の方針を固定するのではなく、その日に何をやりたいのか、最終的にどんなスタイルが理想的なのかで、自由に職能を変えてもらいたかったんです。 田)ソロで遊びたい人は、小回りが効くように必要なスキルをまんべんなく組み合わせたほうがいいですし、パーティプレイのときは役割を明確にしてそれぞれに先鋭化したほうがいい。そこを自由に選択してもらえばなと。 河)もちろん、脇道にそれずに剣だけで生きていくもよし、鍛冶師一筋で生きていくもよし。どんなスタイルでもこの世界でちゃんと冒険できるようになっているので、期待していてください。
- “冒険者ギルド”とはどういったものなのでしょうか? 河)平たく言えば、お仕事紹介所です(笑)。ゲームを始めたら、「とりあえずここに行けばいいですよ」、というアイコンとして冒険者ギルドがあるわけです。そこで、仕事としてギルドリーヴを受け取るという形になります。
- たとえば、“鍛冶師のスキルが高い人にしか受けられないリーヴ”といった、特定の条件が必要なものはありますか? 河)用意する予定です。また、そういった条件を組み合わせてやるものもあるかもしれません。たとえば、園芸師の人が依頼をこなしているあいだ、それを守るために剣術士が……とか。
- ギルドリーヴを1回こなすのにかかる時間は、どのくらいになるのでしょうか? 河)そうですね、30分、あるいはそれよりも短いスパンで遊べるものもあります。人数に関しても、必ず一定の人数が必要、といったことはありません。自由に調整できるような仕組みになっています。同じ目的をもつプレイヤーがエーテライトに集まってますから、募集もしやすいと思います。
- ほかのプレイヤーが受注したギルドリーヴへ参加する場合、参加者側もギルドリーヴが必要になるのでしょうか? 河)いえ、参加者はとくに必要なものはありませんね。主催のひとりがギルドリーヴを持ってさえいれば、制限の許す限り、いくらでも相乗り可能です。さらに、ギルドリーヴの遂行中は、通常のバトルなどよりもスキルを上がりやすくする予定です。つまり、キャラクター育成のためにも参加した方が得ということですね。ただし、そのギルドリーヴ自体の成功報酬は、主催者にのみ入ることになると思います。 田)「FFXIV」では、冒険の拠点を街ではなくエーテライトにしたいんですよ。そのために、しばらくのあいだ現地にいられる。現地に人が集まっていて人の募集もしやすい。これを実現することを設計思想の基本として、いろいろなシステムを考えています。その代表的な例のひとつがギルドリーヴですね。
- 週替わりクエストとはどのような仕組みなのですか? 河)週替わりというのはあくまでたとえですが、要するに、冒険者ギルドのカウンターで提示されるギルドリーヴが一定期間経つと、幾枚か別のリーヴに差し替えられる、ということです。
- この場合の一定時間とは地球時間ですか? 河)そうです。1週間を半分に割ろうかなど、タイムスパンは現在も検討中です。できれば、プレイヤーのみなさんの休日に切り替えのタイミングが重なるようにしたいですね。
- ギルドリーヴは一度に何枚も持てるのでしょうか? 河)はい。やはり、ギルドリーヴを1回こなすごとに、いちいち街へ戻りたくないですよね(笑)。1日に1時間しか遊べないという人のためにも、移動の回数と時間をなるべく減らしたかったんです。ワープなどのサポートはもちろん用意するのですが、ログインしたらすぐにその場で遊びたいですよね。そこで、冒険に出るまえに、あらかじめどのエーテライトに行くかを決めておき、そこでできるギルドリーヴを3つぐらい適当に見繕って持って行くようにする。こうすれば、しばらく街に戻らなくても遊び続けられるわけです。