スフェーン(Sphene)
- 以降に物語の核心部分に触れる記述を含みます。
- パッチ7.0まで進めていない方、ネタバレを好まない方はこれ以降読み進めることをお勧めしません。
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概要
- 「儚げに微笑む少女」として発表された少女。
- 英語名「エニグマティック・メイデン」(得体のしれない少女)
- 「黄金のレガシー」パッチ7.0のメインクエスト:黄金編の後半で、非常に重要な人物として登場する。
継承式の裏で
- 継承の儀でウクラマトが秘石を入手し、ついに黄金郷の扉へとたどり着く。
- そこに現れたグルージャジャは、トライヨラに戻り「継承式」を終えた後に黄金郷について語るといい、一行はいったん王都トライヨラへと帰還する。
- ヴォロク連王宮で継承式の準備が進む中、サレージャにより「鍵」が盗み出される。さらにケテンラムが保管していた秘石についても奪われてしまう。それらを手に入れたサレージャとゾラージャは、黄金郷の扉の前に立つ。
サレージャ : 扉の「鍵」にございます。 王宮の宝物庫に保管されておりましたが、 継承式で警備が薄くなったところを狙えば、このとおり。 サレージャ : あなた様はただ、扉を開けさえすればいい。 継承の儀の結果も、幻影相手の勝敗も、 もはや取るにたらぬ些事……。 サレージャ : さあ、この「鍵」を用いて、真なる王となるのです! サレージャ : おお、これは……!?
- すると中から謎の声が響き、「鍵」を持つゾラージャをいざなう。
扉の先から響く声 : だれか……える……!? 扉の先から響く声 : ……やっと繋がった! サレージャ : いったい何者だ、姿を現せ! 扉の先から響く声 : そうしたいのは山々だけど、ゲートを開くことはできないんだ。 でも、キミが手にしているはずの、その「鍵」があれば、 新たに「繋げる」ことができる。 サレージャ : 謎めいた声の主よ。 もしやお前が、大いなる力とやらの守護者か? 扉の先から響く声 : 大いなる力かどうか、わからないけど……。 私の知識があれば、大抵のことは実現できると思うよ。 それこそ、世界を創り変えることだってね。 ゾラージャ : 世界を創り変える、か……。 ゾラージャ : ……フフフ……ハハハハハッ!! ゾラージャ : おもしろい。 お前が何者かは知らぬが、そのような力を得られるならば、 たとえ悪鬼であっても契りを結ぶ価値はあろうな。
ゾラージャ : 私は求める……新たな世界を。 ただひとつ、私が生きる理由のために! 扉の先から響く声 : キミの願い、叶えてあげる。 けど、その代わり…………
ヘリテージファウンド
登場
- エレンヴィルの故郷であったはずのヤースラニ荒野(ヘリテージファウンド)を探索している一行の前に現れる。
???? : ねえ……キミたち、誰か探してるの?
???? : ごめんごめん、驚かせちゃったよね。 ちょっと訳アリで、こっそり近づいたの。 ???? : キミたちのことは、武王ゾラージャから聞いてるよ。 ウクラマト : 武王ゾラージャだと!? スフェーン : ようこそ、新生アレクサンドリア連王国へ! 私の名前はスフェーン。 スフェーン : この国の、理王だよ!
スフェーン : うん、そのまさかだよ。 理王である私と、武王ゾラージャ…… トライヨラと同じ連王体制で、この国を治めてるんだ。
- 武王ゾラージャとは対立しているという。
スフェーン : 違うよ、私はキミたちと敵対するつもりはない。 スフェーン : ここだけの話、連王体制って言っても協力関係は上辺だけで、 私はゾラージャ王と敵対してるの。
- そもそもアレクサンドリア王国はスフェーンの治める王国であったが、ある日ゾラージャが来て武力で支配しようとしたため、交渉して連王体制に持ち込んだのだという。
スフェーン : この新生アレクサンドリア連王国はね、 もともと私が統治する国だったの。 スフェーン : だけど、ある日ゾラージャが突然やってきて、 私たちを武力で支配しようとした……。 スフェーン : なんとか交渉した結果、 こちらの技術力を提供する代わりに、 私を理王として据え置く連王体制に持ち込めた。 スフェーン : リスクも伴う大きな賭けだったけど…… 大切な国民たちを護るためには、 こうするしかなかったの……。
- なお後でスフェーン本人が言うようにここでのスフェーンの言葉は嘘である。
- ここで時間のズレが明確になる。
クルル : ……ちょっと待って。 このドームが出現したのは、つい最近のこと。 クルル : それなのに、国の体制がどうとか…… たった数日の話とは思えないわ。 エレンヴィル : ここは昔からヤースラニ荒野だ。 おたくの国があったはずがない。 スフェーン : ごめん、急に言われても混乱しちゃうよね。 ……私たちも詳しく把握できているわけじゃないんだ。 スフェーン : でもね、事実として……私たちの国があったところに、 ある日突然、トライヨラの人たちが転移してきたの。 もしくは、私たちの方が転移したか……。 スフェーン : キミたちがドームと呼んでいる障壁の外がどうなっているかは、 つい最近まで私たちもわからなかった。 だから、そういう風に考えるしかなかったんだ。
- なおトライヨラを襲撃した機械兵や飛空艇は、もともとアレクサンドリア王国の技術だというが、それに戦闘能力をもたせたのは武王ゾラージャだという。
スフェーン : あの機械兵や飛空艇は、たしかにこの国の技術だよ。 だけど、本来は戦闘能力なんてなかったものを、 ゾラージャ王が兵器へと改造して、トライヨラを襲わせた……。 ウクラマト : つまり、ゾラージャの独断ってことだな……。 スフェーン : それを止められてないんだから、私も同罪だよ……。
アウトスカーツ
- スフェーンから集落アウトスカーツへと案内される。トナワータ族の集落だった場所で、いまは伝統的な農業が受け継がれている町だという。
- 奇妙な円形をした農場は、もともとトライヨラに居た人が土を耕す伝統的な農業がしたいということで、「エレクトロープ」で特殊な装置を造ることで建物を補強しているのだという。
スフェーン : ここは農場だよ。 キミたちの国にもあるんじゃないかな? ウクラマト : あるにはあるけど…… アタシたちの国の農場とはまるっきり違って見える。 あちこちに見慣れねぇ装置があるしな。 スフェーン : ふふ……みんなが試行錯誤して、この形に落ち着いたんだ。 トライヨラから来た人たちの中には、 土を耕す伝統的な農業がしたいっていう人も多くて……。 スフェーン : でも、この環境でしょう? 雨が多すぎるし日も差さない……。 スフェーン : だから、「エレクトロープ」で特殊な装置を造ることで、 建物を補強して、足りない力も補うことにしたんだ。
グ・ラハ・ティア : 伝統的な日干し煉瓦の建物に、 機械装置が取り付けられているみたいだ。 異なる文化が、上手く融合してるってことか……。
- 言語に関しては、不思議なことにお互いの言葉がすごく似ていて意思疎通には困らなかったという。またトライヨラ出身者の希望も入れてエバーキープに入らない伝統的な生き方も許容している。
スフェーン : ここの農場はエレクトロープで効率化している部分もあるけど、 すべてが置き換えられたわけじゃないんだ。 スフェーン : なるべく昔ながらの暮らしを維持したいっていう、 ここに住むみんなの希望に合わせてるから。 ウクラマト : トライヨラの文化を尊重してくれたのか……。 ありがたい話だけど、言葉すら違うはずなのに、 よくそこまで……。 スフェーン : えっと……言葉に関しては、それほど困らなかったと思うよ。 不思議なんだけど、お互いの言葉がすごく似ていて、 意思の疎通には大きな問題がなかったから。 スフェーン : ここヘリテージファウンドとか、アウトスカーツみたいな地名は、 便宜上、新しくつけたりする必要があったけれど…… 部族名とか伝統的な単語は、置き換えられずに使われてたり。 スフェーン : アレクサンドリアとトライヨラの民は、 お互いを尊重し合って、うまくやっていこうとしてきたんだ。
- また農地で農作業をしながらエバーキープに住んでいる人間もいる。障壁の外と繋がったという噂はあるが、とくに不満もなく障壁の外に出たいとは思わないという。
ヒーネク : 私の親世代なんかは、エレクトロープ製の設備に疎くて……。 いい加減慣れてほしいものです。 ヒーネク : それで……私が今なにをしているかって言うと、 倉庫に保管している収穫物を管理しています。 ヒーネク : ここから塔の中に運ばれた収穫物が、 加工されて食卓に並ぶわけですから、働き甲斐はありますよ。 この農地の収量なんて、全体から見たら微々たるものですがね。 ヒーネク : 私の住まいも塔の中にあるんですよ。 仕事をするときだけ、アウトスカーツに下りてきています。 キペイ : ねえねえ、あなたたちが障壁の外から来たんじゃないかって、 みんなで噂してたんだけど、本当なの? キペイ : へええ、これは驚いた! 今はもう、外と繋がってるんだね……感慨深いや。 キペイ : ……まあ、繋がったところで別に出たいとも思わないけどさ。 だってここの暮らしに不満もないし。
- ナミーカの最期。長年ウクラマトの乳母を務めてきたナミーカとここで衝撃の再会を果たす。真面目な人だったので魂のストックはあるが、寿命だろうと話している。このナミーカの死とその記憶が住民たちの記憶から速やかに消去されたことは、エバーキープの魂(循環)システムの理解へと繋がり、一行の間に衝撃が走ることになる。
ウクラマト : おい、それって…… ウクラマト : アタシがナミーカに贈った腕輪じゃねぇか! スフェーン : ナミーカさんのこと、知ってるの? ウクラマト : 知ってるも何も…… ナミーカはアタシが幼い頃から世話になってた乳母だ……。 ウクラマト : 本当に……お前なのか……? クルル : ドームの出現に巻き込まれていたのね……。 そして、ここで30年の時を過ごした……。 ウクラマト : ……ナミーカ? アタシだ、ウクラマトだ……! ペポーネ : 残念ながら、彼女は高齢でお迎えが近く……。 心配そうな男性 : 魂のストックはもうないのかい? 残念な様子の女性 : あるさ、真面目な人だったからね。 でも、もう寿命だろう……。 ペポーネ : スフェーン様、送迎係が参りました。 スフェーン : ナミーカさん、長い間ありがとね。 でもこれは、お別れじゃないよ。 スフェーン : あなたの記憶が刻まれている限り、 あなたの命は、永久(とわ)に継承されていく……。 アリゼー : 記憶と命は受け継がれていく…… ヨカフイ族の考え方と似ているわね。 ウクラマト : ならせめて、もう少しそばにいさせてくれ。 ウクラマト : アタシにとって、本当の母親みたいな人なんだ……。 頼む……。 スフェーン : ……しばらく、ふたりだけにしてあげて。 ウクラマト : ありがとよ。 反応はなかったが、おかげで最期に別れを伝えられた。 スフェーン : ……最期じゃないよ? ウクラマト : えっ……?
ウクラマト : さっきは、アタシのわがままを聞いてくれてありがとな。 それから……この30年、ナミーカに良くしてくれたことも、 礼を言わせてくれ。 ペポーネ : ナミーカ……? いったい、誰のことを言っているのですか? ウクラマト : 誰って……いや、ついさっきまで一緒にいただろ。 つまんねぇ冗談はやめろよ。 ペポーネ : 申し訳ありません……。 ですが、本当にその方のことが記憶にないのです。 アリゼー : だって、あなたはアウトスカーツのまとめ役として、 ナミーカさんを気にかけてたじゃない! ペポーネ : だとすれば…… その方の記憶は、雲の上に預けられたのかもしれませんね。 ペポーネ : こういった現象のことを、 私たちはそう表現することにしているのです。
- グ・ラハ・ティアらによる状況まとめ。
グ・ラハ・ティア : ああ……まずは、みんなと状況を整理させてもらいたい。 グ・ラハ・ティア : オレたちがドーム内に入ってから見聞きしたこと…… それにこの町で得た情報をあわせても、 ふたつの異なる地域が融合してるって点は間違いなさそうだ。 グ・ラハ・ティア : そして時間の流れのズレも、 ナミーカさんの件があった以上、事実としか言いようがない。 グ・ラハ・ティア : とすれば、やはりふたつの地域は、 次元の狭間を越えて混ざり合った可能性が高いだろう……。 グ・ラハ・ティア : いずれかの鏡像世界にあったスフェーンの国…… アレクサンドリアが、ヤースラニ荒野に転移してきたんだ。 クルル : ……異論はないわ。 グ・ラハ・ティア : 問題は、その規模の大きさだ。 ヴォイドゲートのような事例はおろか、 クリスタルタワーの転移とだって、比較にもならない。 グ・ラハ・ティア : これは言わば、局所的な次元圧壊…… アシエンたちが霊災を通じて成していた、世界統合だ。 グ・ラハ・ティア : いったい、どんな技術が使われているんだ? スフェーン : ……ごめんね、私たちにもよくわかってないの。 その、鏡像世界……っていうのも初耳だし、 時間のズレについても、本当に知らなかったんだ。 スフェーン : 私たちは、はるか昔から障壁の中で生きてきた。 それが突然、こんなことになって……。 クルル : はるか昔から……? 障壁は、転移に伴ってできたものじゃないの? スフェーン : ……数百年前、私たちの大陸では、 環境に大きな影響を与えるほどの大災害が発生したの。 スフェーン : その環境汚染から身を守るために、障壁が張られたんだ。 クルル : なるほど……。 誰がどんな技術を使って成し遂げたのかはわからないけれど、 もともとあった障壁ごと、こちらに転移してきたわけね。
- この後、一行をエバーキープ(ソリューション・ナイン)へ案内するといい、またエレンヴィルの母カフキワについてもサンダーヤードの方に行けと居場所を教えてくれた。少し時間があるというので一行はカフキワを探しだし、その案内で「空の坑道のアジト」へと行くことになる。
- そこで新生アレクサンドリア連王国における魂資源の管理方法やレギュレーターについて学んだ一行は、さらにカフキワの案内でソリューション・ナイン内にあるという「オブリビオン」の本拠へと行くことになる。
ソリューション・ナイン
- 一行が坑道からソリューション・ナインに向かう頃、武王ゾラージャとスフェーンがエバーキープ某所で会話をしており、手を取り合う可能性を模索するスフェーンと、あくまで武王ウクラマトとの対決姿勢を崩さない武王ゾラージャはすれ違っている。
ゾラージャ : ウクラマトたちと接触したらしいな。 ゾラージャ : まあいい。 何を企んでいるのか知らんが……。 ゾラージャ : 国が危機に瀕していたとき、 お前には民を護る力がなかった。 その無力さゆえに、俺にすがるほかなかったのだ。 ゾラージャ : 奴らに情が移ったとて同じこと。 結局は俺の力が必要になる……違うか? スフェーン : そう、だけど……。 あの子、民は家族だって言ってた。 スフェーン : それだけ純粋に民のことが好きなんだよ。 だから、あの子には私と同じ思いをしてほしくない。 スフェーン : それに、ラマチ……ウクラマトの仲間たちは、 私たちにない知識も持っているみたいだった。 彼らとなら、別の路を見つけられるかもしれない……! スフェーン : 虫がいいのはわかってるけど、 今からでもトライヨラと和平を結べないかな? スフェーン : 私たちがしたことは許されることじゃないよ。 だからって、家族同士で殺し合わなくても……! ゾラージャ : フン……。 ただひとりの肉親すら斬って捨てた俺に、家族を説くとはな。 ゾラージャ : 父上を思い起こすにつけ、失望がよぎるばかりだ。 ああも容易く死ぬとは、老いさらばえたか……。 ゾラージャ : あんなものを叩き切っただけでは、 俺の……長年追い求めてきた、奇跡の証明にはならん。 ゾラージャ : もはや、俺の目的を果たす方法は、あいつらを殺すほかにない。 ゾラージャ : 幻影とはいえ、全盛期の父上を相手に勝利した現連王…… ウクラマトとコーナをな……! スフェーン : ……また、家族を殺すの? 血が繋がってなくても、ウクラマトは妹なんでしょ? ゾラージャ : 俺は俺の目的のために行動する。 黄金郷からお前が語りかけてきたとき、そう言ったはずだ。 ゾラージャ : 忘れるな。 お前の大切な「家族」とやらを殺すのは容易い。 連中の命を護りたくば、甘い考えは捨てるがいい。 ゾラージャ : 俺はお前が持つ知識や能力は認めている。 よく考えて行動しろ、理王よ。 ゾラージャ : ウクラマト。 お前が父上を継ぐに相応しい「武王」ならば、 俺のもとまでたどり着いてみせよ。 ゾラージャ : もし見込み違いだったなら……そのときはトライヨラを滅ぼす。 スフェーン : どうしたら…………。
- ※スフェーンがソリューション・ナインを案内するのはこの後のこと。
- いよいよソリューション・ナインへと進入した一行。しばらく散策してこいというカフキワのススメに従い街を散策していると、ふいにスフェーンが現れる。
???? : いたいた! おーい、ラマチたち~! ウクラマト : スフェーン!? スフェーン : その様子だと、無事に検問を通過できたみたいだね! よかったあ、ちょっと心配してたんだよ。
スフェーン : あ……あのさ、ふたりとも。 せっかく来てくれたところで悪いんだけど、 大事な話があるの……聞いてくれる? ウクラマト : 大事な話? スフェーン : そう、大事な話……! スフェーン : その…… ゾラージャ王と敵対するのはやめて、和解できないかな? ウクラマト : ……どういうことだ? お前も敵対してるって、最初に言ってたじゃねぇか。 スフェーン : もちろん、意見は……お互いの方針は対立したまま。 彼のやり方が全部正しいとは、どうしたって思えない。 スフェーン : だけど、戦ってほしくないんだ。 キミには後悔してほしくないから……!
- さっきと矛盾した内容を唐突に話し出すが、ウクラマトに断られるとすんなりそれを受け入れている。
- そしてソリューション・ナインを案内してくれというウクラマトの要望も受け入れ、自ら街を案内する。途中、アレクサンドリア王国の歴史を語る。エレクトロープの発見、他国との戦争から「雷光大戦」への突入が起こったこと。戦争と大災害に苦しめられる中、技術者たちは魂と記憶の保存方法を探し出したのだという。
スフェーン : じゃあ、少し長くなるけど……昔話をするね。 スフェーン : はるか昔……一説によると千年以上も前から、 私たちの世界では、雷属性の力が少しずつ高まっていたの。 スフェーン : ある遺跡で発見された穀物の管理記録によるとね、 800年くらい前まで、激しい雷雨を伴う雨季は、 一年に三ヶ月だったそうなんだけど…… スフェーン : その後、およそ400年が経ったころには、 年の半分くらい雨季が続くのが当たり前になっていたみたい。 スフェーン : 少しずつ、少しずつ雷雲が空を覆う時間が延びて、 作物の育ちは悪くなる一方…… 草をはむ家畜たちも、やせ細っていく……。 スフェーン : でも、そんな状況を覆す「宝」が見つかった。 それが、エレクトロープだよ。 ウクラマト : この街を造っている素材、だったよな。 スフェーン : あるとき、落雷で発生した山火事の跡を見に行った村人が、 不思議な黒い鉱石を発見した……それがすべての始まり。 スフェーン : その鉱石には雷属性の力を溜め込み、別の属性に変換したり、 放出したりする性質があるとわかったの。 以来、忌々しい雷雲は大きな恵みとなった。 スフェーン : エレクトロープと名付けられたそれを利用して、 様々な技術が開発されたことで、民の生活は大きく改善した。 スフェーン : エレクトロープは、瞬く間に発展の必需品になっちゃったんだ。 当時は大した産出量もなかったのにね……。 スフェーン : 自国の領土から採れる量が少なければ、 当然、他国から奪うしかない。 そうして争いが起きたの……。 スフェーン : いつしかエレクトロープは、 他国を侵略する兵器にも転用されはじめ、 その兵器を守る防備にも使われるようになった。 スフェーン : ますますエレクトロープは足りなくなり、 奪い合いが加速する……。 こうして世界は「雷光大戦」と呼ばれる戦争に突入したの。 スフェーン : その末期のこと…… アレクサンドリアの隣国リンドブルムが、 掻き集めたエレクトロープを投じて、最終兵器を造りだした。 スフェーン : それが前線に投じられ……大災害が引き起こされたんだ。 リンドブルム側の予想さえも遥かに凌駕する雷の力が、 大陸全土を呑み込んで、滅ぼした……。 ウクラマト : それで今の環境になっちまったんだな……。 スフェーン : やっぱりキミは、私が知らないことを知ってるんだね。 興味あるなぁ……キミのことも、いつか教えてね。 スフェーン : 話を続けるね。 当時のアレクサンドリアの人々は、 そうして、戦争と大災害に平和を奪われたんだ。 スフェーン : かろうじて生き残った人たちも、心に深い傷を負っていた……。 大切な人を亡くしたときの思い出に、 誰もが嘆き、苦しんでいた……。 スフェーン : だから、技術者たちは探したんだ……。 エレクトロープを駆使して、魂と記憶の保存方法を。 スフェーン : 肉体が失われても、命は終わりじゃない。 記憶が残り続ける限り、命は永久(とわ)に失われることはない……。 スフェーン : 長い間、私たちの心の傷を癒やし続けてきたこの教えが、 今もみんなの心の拠り所になっているんだ。 ウクラマト : そんなことがあったなんて……。
- ここで何かを打ち明けようとするスフェーンだったがそれをはぐらかし、ウクラマトたちと分かれると「この路を進むしかない」とつぶやいている。
スフェーン : ふたりとも、あのね、実は私……! ウクラマト : どうした? スフェーン : あ……ううん、なんでもないや。 スフェーン : ごめん、いろいろ連れまわしちゃったけど、 そろそろ行かなきゃ!
ウクラマト : 全部片付いたら、トライヨラのことも紹介させてくれよな。 スフェーン : うん、楽しみにしてるね! スフェーン : やっぱり私にはもう、この路を進むしかないんだ……。 スフェーン : ごめんね、ラマチ……。 その約束は守れそうにないよ。
- ウクラマトもスフェーンが何かをいいかけたことを気にしているが、次に会うのはウクラマトたちが「永久人」のことを知った後である。
ウクラマト : スフェーンの奴、何を言いかけてたんだろうな。 ……ま、次に会ったときにでも聞いてみようぜ!
永久人
- オブリビオンのバックルームで情報交換をした一行は、マムージャのこどもを追いかけることになる。そして訪れた旧アレクサンドリア城下町エリアで、ボロボロの機械兵のオーティスと出会い、そこで「永久人」について知ることになる。
オーティス : ワタシのように、故人の記憶から再現された存在を、 科学者たちは、こう呼んだ。 オーティス : ……永久人(とわびと)、とな。
オーティス : スフェーン様は、永久人になっても優しい方であろう? オーティス : ひと目お会いしたいと想い続けて数百年…… こんな身体じゃ、彼女を怖がらせてしまうと思ってな。 オーティス : 今のスフェーン様を遠目にお見掛けしたことはある。 あるが……お声掛けする勇気は、ない……。 オーティス : 臆病ゆえではないぞ? 怖がらせてはならぬという配慮…… そう、配慮なのだ……!
- 帰り道でスフェーンとも出会い、そこで「永久人」について尋ねる2人。
スフェーン : ……うーん、そっか。 知っちゃったんだね、私が永久人だってこと。 スフェーン : 私が数百年もこの姿のまま生きてるってことは、 国のみんなも気がついてることだし、隠してはないんだけどね。 ウクラマト : なあ、教えてくれスフェーン。 永遠を生きる永久人と、今を生きる人…… お前が護りたいのはどっちなんだ? ウクラマト : それに、この前…… アタシたちに何か言いかけてたよな。 それって、永久人に関わることなんじゃねぇのか? スフェーン : ……永久人たちも、私にとっては大切な国民だよ。 生きてる人と何も変わらない、大事な大事な家族。 スフェーン : でもね、永久人たちが生きるためには特殊な環境が必要なの。 それも今では限界を迎えていて、ギリギリ保ててはいるけど、 これ以上、死者が増えればどうなることか……。 スフェーン : エレクトロープに干渉できる私と違って、 彼らは自由に移動することもできないし、 命を繋ぐためには、たくさんの……エネルギーが必要なんだ。
- ここで「エネルギー」とは何かについて問うウクラマトだったが、それははぐらかし、アレクサンドリアの国民になってくれないかと提案する。もちろんウクラマトが断り目的を尋ねると、それには答えず消えてしまう。
ウクラマト : ……エネルギー? よくわかんねぇけど、アタシたちにできることはないのか? スフェーン : じゃあ………… スフェーン : アレクサンドリアの国民に、なってくれる? ウクラマト : は……はぁ!? そんなこと、できるわけねぇ…… アタシは、トライヨラの民を護ると誓った王なんだぞ! スフェーン : うん……そうだよね。 ウクラマト : 和解しろって言ったり、国に帰れって言ったり…… いったい何が目的なんだ? スフェーン : 目的はキミと同じ……民を護ることだよ。 スフェーン : それは内緒。 知ってもらえないまま、好きになってもらえないままでいい。 でもね………… スフェーン : キミたちと、同じ国に生まれてたらよかったな……。 ウクラマト : おい……どういう意味だ!? 待てって、スフェーン!
武王ゾラージャ
- ここで武王ゾラージャがしびれを切らしてしまい、部隊を率いてヴァンガードへ向かったという。すでにレギュレーターについて学んでいたウクラマトは、それの破壊をもくろみ、武王ゾラージャと1対1での「決闘」に持ち込もうとする。
- しかしここでウクラマトがスフェーンとこの国をどうするかを話したいと言うと、武王ゾラージャからスフェーンの目的が「障壁外の命を奪い尽くすこと」であり、武王ゾラージャと一致していることを告げられてしまう。そしてそこにスフェーンも登場する。
ウクラマト : とっとと決着をつけるぞ! この国をどうするか、スフェーンと話さなきゃならねぇからよ! ゾラージャ : 随分と、奴のことを信頼しているようだな。 これこそが理王の策略だというのに。 ゾラージャ : スフェーンの目的は、障壁外の命を奪い尽くすこと。 最初から俺と利害が一致していたわけだ。 スフェーン : ……ゾラージャ王が言ってることは正しいよ。 アリゼー : いつの間に……!? スフェーン : トライヨラの襲撃は、私の望みでもあった。 ウクラマト : お前、自分は関わってねぇって言ってたよな。 騙してたのか、アタシらを! スフェーン : ……そうだよ、キミたちを利用するつもりで近づいた。 ウクラマト : なら、全部嘘だったってことか!? この国のみんなのことを、 家族のように愛してるって話してたことも! スフェーン : みんなを護るためだよ! スフェーン : 騙してごめんなさい……。 こんなこと間違ってるってわかってる…… でも、民の命を護るためにはこうするしかなかった。 スフェーン : 大切な「永久人」たちのために、 私はトライヨラの人々の命を奪う!
- ここで武王ゾラージャがスフェーンを突然切り捨てるが、スフェーンは近くにあった機械兵の体を使ってすぐに復活する。ウクラマトは、スフェーンに向かい人だった頃の記憶を持っているのに大勢の命を奪おうとするのかと問う。
ウクラマト : 永久人だろうと、機械だろうと、 お前は人だったころの記憶を持ってるんだろ……! ウクラマト : なのに大勢の命を奪おうって言うのか!? 自分の民を生かすために……! スフェーン : ……そうだよ。 生きている人も、永久人も、 私にとって、民の命以上に大切なものなんてない。 スフェーン : 新生アレクサンドリア連王国の王として、 民を護るためなら何だってする! スフェーン : それとも、力も命もあるキミたちなら、 犠牲を出さずに、護りたいものを護れるの……?
- ここでアリゼーがどんな危険から民を護ろうとしているのかを問うが、それは武王ゾラージャに遮られてしまう。さらに「決闘」でレギュレーターを壊す作戦は、アレクサンドリア軍通信兵からレギュレーターを奪い取ることで簡単に回避されてしまう。
- 一方で王都トライヨラへの侵攻が進むが思いの外の抵抗を受けていることが報告されると、武王ゾラージャはエバーキープ警備隊にコードブラッド発令、全住民を処分して魂資源を回収することを命令し、ウクラマトへはエバーキープ最上層へ来るように言い残し消えてしまう。
エバーキープでの住民救出
- 一行がエバーキープに戻ると呆然としたスフェーンが立ち尽くしており、ウクラマトに説得され自分にできることととしてウクラマトたちと行動をともにして住民たちの救出を行う。
ウクラマト : スフェーン! あいつら止められねえのかよ!? スフェーン : 機械兵に対しては、 理王よりも、武王の方が上位の命令権を持ってるから…… 私には止められない……。 ウクラマト : ならせめて、お前にできることをしろ! ウクラマト : お前のやったことを、許すつもりはねぇ。 だけど、国民に罪はねぇからな。 スフェーン : 私、みんなのこと騙してたのに……。 アリゼー : 話はあとよ! 民を護りたいって言葉に、嘘はないんでしょう? スフェーン : あるわけない! みんなを護るためなら、なんだってする……!
- そして機械兵の集団の中にオーティスを見つけ、その戦いぶりにスフェーンの記憶が蘇る。
スフェーン : オー……ティス……? スフェーン : この戦術…… そんなはずない、だって「彼」は……。 スフェーン : 間違いない、これは……騎士団長の……! スフェーン : もし「彼」の中に私の記憶が残ってるなら…… 喪心のオーティス : ガガ……女王……お護りする…… スフェーン : やめて……オーティス!!! スフェーン : ねえ、オーティスなんでしょう!? スフェーン : お願い……王国騎士が、こんなことをしちゃダメ! アレクサンドリアを……護るんでしょう!?
スフェーン : オーティス……! オーティス : スフェーン様、どうかお下がりください。 オーティス : ワタシは、誇り高きアレクサンドリア王国騎士団の団長、 オーティス・ヴェロナ! オーティス : スフェーン様と、愛すべき民を護るため…… ここから先は一歩も通さん!
- オーティスの身を挺しての防御でなんとか救われたスフェーンだったが、戦闘が終わるとどこかに消えてしまう。
スフェーン : レギュレーターにあたる機能がない旧式の機体からは、 魂を回収できない……。 スフェーン : 今、目の前で私たちを護ってくれた、 「この」オーティスは消えちゃうんだ……。 スフェーン : 本当にありがとう……。 何てお礼を言ったらいいか……。 スフェーン : でも、ごめんなさい。 スフェーン : 今はどうしても、行かなきゃいけないところがあるの……!
「魂魄工廠 オリジェニクス」
- バックルームに戻った一行はエバーキープ最上層への侵入経路を探り、カフキワの提案に従い「魂魄工廠 オリジェニクス」を伝って最上層への侵入を試みる。オリジェニクス内部で、一行はアレクサンドリアの魂資源回収の仕組みを学ぶ。
オリジェニクスの情報端末 : 魂資源の処理に際しては、マニュアルの工程を遵守されたし。 我らが預かるのは、新生アレクサンドリア連王国の最重要資源、 損壊、消失は重大な罪であると心得よ。 第一工程:魂の抽出 レギュレーター内に保存された「魂」と「記憶」の混合エーテルを、 抽出した後、ポッド内で安定させる。 混合エーテルの抽出処理を急ぐほど、 損壊率も高まるため、緊急時を除いて変更しないこと。
オリジェニクスの情報端末 : 第二工程:記魂分離 分離器を利用して混合エーテルを「魂」と「記憶」に分け、 それぞれを三次工程に送られたし。 「魂」は、最終処理工程のため、上層へ。 「記憶」は、秘匿経路を通じてメインターミナルへ。 なお、魔物の「記憶」については保存の必要なし。 特殊用途を除き、すべて廃棄のこと。
オリジェニクスの情報端末 : 第三工程:漂白 分離した「魂」に付着した記憶残滓の完全漂白を行う。 漂白光は生体に有害であるため、作業には慎重を要する。 なお、記憶残滓が付着したままの魂資源を投与された者は、 記憶の混濁や人格の崩壊に繋がる恐れがある。 高精度の感知装置により、残滓の有無を確認すべし。 以上の工程を経て、魂資源は社会に還元される。 諸君らの働きが今日も国家の営みを支えていると自覚し、 誠実な業務遂行を心掛けたし。
エバーキープ最上層
- ダンジョンを踏破して第十一層へとたどり着いた一行。そこにあったのは最上層への経路ではなく、はるか上空に見えている巨大なゲートだった。
ウクラマト : なんだよ、あれ……。 アリゼー : あれって……ヴォイドゲート!? アルフィノ : 途方もない大きさだ……! エスティニアン : ああ、アジュダヤを喰らったゼロムスだって、 これほどの大きさのゲートを開けるには至らなかった。 ヤ・シュトラ : そうね、これはヴォイドゲートではないわ。 少なくとも、第十三世界には通じていないもの……。 クルル : まさか……! ヤ・シュトラ : ええ、あれは恐らく…… 「別の鏡像世界」へと繋がるゲート。 グ・ラハ・ティア : まさか、そんなものが…… ドーム内の土地が融合していただけじゃなかったのか……!
- そこにはエーテルを吸収しすぎて人の姿を保てなくなったゾラージャがいた。
ヤ・シュトラ : 人が人の姿を保ったままで保有できるエーテルの量には、 どうしたって限界があるわ。 ヤ・シュトラ : ゾラージャは大量の魂を体内に取り込んだことで、 それをとっくに超えてしまった……。 ヤ・シュトラ : どう視ても、無事ではないわ。 けれど、それと引き換えに、 魔王級妖異に匹敵するほどの力を蓄えている……。
- 武王ゾラージャを討滅した一行。ゾラージャが消えると、そこには「鍵」が残されていた。そこにスフェーンが現れる。
ウクラマト : ……スフェーン? ウクラマト : お前……。 スフェーン : ……みんな、ありがとう。 ゾラージャから民を護ってくれたこと…… 本当に感謝してもしきれないよ。 スフェーン : それから、ごめんなさい……。 ウクラマト : 謝られたって、お前がトライヨラ襲撃を企てた事実は消えねぇ。 ウクラマト : だが、その復讐としてお前を殺せば、 今度は、国同士の全面戦争に突入しちまうだろう。 ウクラマト : そうなりゃ、もっと多くの笑顔が失われる。 だからここから先は、戦い以外の路も探さなきゃダメなんだ。 今すぐ、手を取り合って生きることは無理だとしてもな……。 スフェーン : そんなこと、永遠に叶わないよ。 ウクラマト : なに……? スフェーン : できないよ……もう遅いの。 スフェーン : 私がゾラージャ王と手を組んでいた理由は、 永久人を生かすためのエーテルが欲しかったからなの。 生者を殺すことで得られる、生命力のエーテルが……。 スフェーン : でも、ゾラージャ王が裏切り、 彼も、彼が造り上げた軍隊も敗北した今、 永久人たちを生かし続ける望みは潰えてしまった。 スフェーン : もう諦める? ……ううん、できないよ、だってみんな大切な家族だもん。 肉体があるかどうかなんて関係ない。 スフェーン : 私は、みんなの王様だから。 できることがあるなら、何だってする!
スフェーン : ……そっか、キミたちは彼らのことを知らないから、 永久人を「死者」だなんて思っちゃうんだ。 スフェーン : でも、彼らは死んでない。 誰かが憶えている限り、命に終わりはないんだよ。 スフェーン : キミならわかるよね? スフェーン : そこにいるカフキワさんが、命なき空っぽの存在で、 消えてもいい人だなんて、私は絶対に思えない! カフキワ : スフェーン様……それは……。
スフェーン : 私は…… スフェーン : 私は、旧アレクサンドリア王の記憶を受け継ぎし者。 愛する家族である民を護りたいという願いは、 どんな願いにも勝る! スフェーン : 家族を護るためなら……どんな犠牲も厭わない!
ヤ・シュトラ : まさか……! アルフィノ : あれはいったい……!? スフェーン : アレクサンドリアにはこんな伝承がある。 はるか、はるか遠い昔……別の世界から厄災を逃れるために、 特別な力を使ってやってきた一族がいると……。
スフェーン : その力を発動させるための「鍵」は、 人々の強い願いに呼応するとされ…… ときに様々な場面で奇跡を起こしてきたという。 スフェーン : それは「世界を繋ぐ力」の核…… プリザベーションは、その神秘を明らかにしようと、 エレクトロープ技術を用いて研究を続けてきた。 スフェーン : 結局、すべてを解き明かすことは叶わず、 制御法も不完全なままではあるけれど…… スフェーン : 「リビング・メモリー」に生きる永久人(みんな)を護るためには、 この力に頼るほか路はないんだ。 ウクラマト : それで、お前は何をしようってんだ……! スフェーン : 何十年も何百年も足掻き続けてきたけど、ダメだった。 スフェーン : 優しいだけの王様のままじゃ、民は護れなかったんだよ! スフェーン : だから、私も戦うって決めたの。 スフェーン : 愛する民を護るためなら、 私は史上最悪の王にだってなってやる!
- そう言い残すと「鍵」とともにスフェーンはゲートへと消えてしまう。
- ヤ・シュトラの解説。
ヤ・シュトラ : ……少なくとも、 スフェーンは彼女を死者とは思っていないようだけれどね。 ウクラマト : ああ……あいつにとっては、 永久人も護るべき大切な民なんだ……。 ヤ・シュトラ : ……ただし、永久人たちを護るには生命力のエーテルが必須。 恐らく、原初世界の人から奪う計画だったのでしょうけど、 ゾラージャに裏切られ、その望みも潰えた。 ヤ・シュトラ : そして今、追い詰められた彼女は「世界を繋ぐ力」を使い、 異なる鏡像世界へと狙いを変えた。 私たちからの干渉を避け、「命」を奪うために……。 グ・ラハ・ティア : ……そんなことはさせない。 鏡像世界には、オレたちと同じように生きている人がいるんだ。 ウクラマト : スフェーンを追いかけよう。
最終エリアにて
メインターミナル前で
- 最終エリアに入ると、さっきアナウンスが流れ暫くの間スフェーンは眠りにつくという。しかし呼びかけると姿を表す。
ウクラマト : おい、スフェーン! ここにいるのか? ウクラマト : いるなら返事をしてくれ! お前と話がしてぇんだ! ウクラマト : スフェーン……! スフェーン : こんなところにまで来ちゃうなんて……参ったなあ。
スフェーン : 誰も傷つかない、何も失われない…… そんな優しい世界があればよかった。 スフェーン : でもね、増え続ける永久人の存在を維持するためには、 「生命力のエーテル」が必要なの。 永遠の命は、その糧を得てこそ永遠でいられる……。 スフェーン : 障壁に閉ざされた箱庭の中で、 命の巡りをせき止めながら、数百年どうにか繋いできたけど…… それももう限界なんだ。
- だからスフェーンは、「世界を繋ぐ力」に頼り別の鏡像世界から「生命力のエーテル」を奪うという。そのためにスフェーンを構成する「生前のスフェーン」の記憶を消し去って人格を消去し、世界を喰らう最悪のシステムとなってアレクサンドリアを護るという。
スフェーン : だから私は「世界を繋ぐ力」に頼る路を選んだ。 キミたちの世界に、永久人の糧を求めるために……。 スフェーン : 計画は果たされるよ。 「鍵」は今……私の手元にあるんだから。 グ・ラハ・ティア : オレたちの世界からエーテルを奪って、 それでも足りなくなったら、今度は別の鏡像世界から奪うのか?
スフェーン : ……でも、運命は残酷だね。 キミと出会ったときには、もう何もかもが手遅れだったんだ。 スフェーン : かつて、優しいだけのスフェーン王は、民を護れなかった。 だから私は、弱い心を捨てることにしたの! スフェーン : 私を構成する「生前のスフェーン」の記憶、 それを捨て去って、この人格を消去する……! スフェーン : そうして……世界を喰らう最悪のシステムとなって、 アレクサンドリアを護るんだ。
- そういってスフェーンは姿を消す。
スフェーン : 残念、ひと足遅かったね。 起動したシステムは、もう止められない……!
メインターミナル : メインターミナルの記憶領域を消去中…… メインターミナル : メインターミナルの記憶領域を消去中…… 完了後、世界を繋ぐ力を実行します…… ウクラマト : スフェーン!!!
グ・ラハ・ティア : 永久人という存在そのものが、最初から破綻しているんだ……。 スフェーンは、そんな立ち行かない命を背負いながら、 消滅に抗おうとしてきたのか……。 エレンヴィル : 彼女が護ろうとしてる記憶は、自然の理から外れたものだ。 だが、永久人たちはたしかにここに存在していて、 スフェーンだけは、彼らの命を本物だと信じてる……。
- ひとまずレイノード・メモリスに戻った一行の前にカフキワ本人が姿を表す。
聞き覚えのある声 : 誰か探してるのかい? 聞き覚えのある声 : 久しぶり……ってほどでもないか。 あんたたちなら来てくれるって信じてたよ。 クルル : その声……! ウクラマト : もしかして、カフキワか!? カフキワ : ああ、この姿で会うのは初めてだったっけ。 いかにも、あたしはカフキワさ!
- スフェーンの止め方を尋ねる一行に、カフキワはターミナルのシャットダウンという方法が唯一だと伝える。※詳細は「カフキワ#黄金郷」の項を参照
ウクラマト : それで、アタシらに頼みたいことって何だ? カフキワ : あたしたち永久人を、消してほしいんだ。 ウクラマト : …………え?
ウィンドターミナルのシャットダウン後
- ついにスフェーンの計画が始まる。
グ・ラハ・ティア : あとはメインターミナルが膨大な計算を終え、 異界への接続工程に入るのを待つだけ……。 無防備になる、その瞬間を突くんだ。 メインターミナル : 世界接続最終シーケンスに移行……。 繰り返します、世界接続最終シーケンスに移行……。 メインターミナル : 永久人のみなさん、ご安心ください。 生命力のエーテルは、間もなく供給されます。 メインターミナル : 永久人のみなさん、ご安心ください…… ウクラマト : ついに、始まったぞ……!?
ウクラマト : カフキワが授けてくれた作戦を遂行しよう。 スフェーンを止めるなら、今が好機だ……! グ・ラハ・ティア : ああ、世界接続が完了する際の隙を突いて、 鏡像世界に実害が及ぶ前に叩く! 危険は伴うが……みんな、準備はいいな?
再びメインターミナル前
- やはりカフキワの言う通り突入して止めるしか無いという。
ウクラマト : ダメもとで試してはみたけどよ、 さすがにメインターミナルは、外部から簡単にシャットダウン…… ってわけにはいかねぇみたいだ。 エレンヴィル : 大丈夫だ、おふくろから預かりものがある。 あいつが、この日のために用意しておいた、 ハッキングプログラムだそうだ。 エレンヴィル : これを使えば、 メインターミナルのコアでもある「スフェーンの記憶領域」に、 対象者の魂を転送できるらしい。 エレンヴィル : そしておそらく、侵入した先に広がっているのは、 「スフェーンの記憶」を基に造られた、幻想世界ってやつだ。 グ・ラハ・ティア : つまり、その「記憶の幻想世界」を探索して、 コアであるスフェーンを見つけだし…… 彼女を止めればいいってことだな? クルル : スフェーン王の記憶で造られた幻想世界…… 魂を送り込むなら、そこでの敗北は死を意味するわ。 無事に戻ってこられる保証はないということね。
グ・ラハ・ティア : 侵入すれば、メインターミナルの妨害を受けるはずだ。 加えて、警戒すべき点はほかにもある……。 グ・ラハ・ティア : まずは、スフェーンが自らの記憶を消去すると言っていたことだ。 記憶……すなわち「心」を捨て去った彼女は、 オレたちの知るスフェーンじゃなくなっているかもしれない。 グ・ラハ・ティア : さらに、世界接続の準備は完了しているという点も厄介だ。 彼女が「鍵」を使えば、いずこかの世界と繋がる…… そうして集めたエーテルを、攻防に使ってくる可能性もある。
「記憶幻想 アレクサンドリア」
- スフェーンの記憶領域、彼女が生きた時代のアレクサンドリアが再現されている。※スフェーンは「王女」
スフェーンの声 : 平和だった頃の記憶も、これが見納め……。 ウクラマト : ここが… スフェーンの記憶領域… クルル : 彼女が生きた時代の アレクサンドリアなの?
- 攻略が進むにつれシステムの動作がおかしくなっていく。
スフェーンの声 : だイじょうぶ、いノチはつづクよ……! スフェーンの声 : 私が永久人にナル前のキヲクも……サイ……ご……に。 メインターミナル殲滅機構 : 異物を検……排除プログ……します。 記憶世界の市民 : スフェーン様の……オクが保存さレてるっテ噂……ぞ! 記憶世界の市民 : みんな…… エバーキープ完……で、諦め……ナ……!
- 同期が完了し、スフェーンは「エターナルクイーン」へと変化する。
ウクラマト : スフェーン!! ウクラマト : おい、スフェーン聞こえねぇのか!? クルル : 彼女、もう心が……。
メインターミナル : まもなく同期が完了します……。 エターナルクイーン : 同期完了……。 永久人「スフェーン」の構成要素はまっしょうされ、 メインターミナルが「永久の女王(エターナルクイーン)」をけいしょうしました。 エターナルクイーン : 国民のみなさんを、いつまでも(エバー)保護(キープ)します。 そのための権限は、すべて開放されました!
- さらに「鍵」が出現し最大の障害となる光の戦士まで排除されそうになるが、光の戦士がアゼムのクリスタルを掲げると「鍵」にアゼムの紋様が浮かび上がる。
エターナルクイーン : エリミネーターが収集した情報によれば、 あなたが、計画実行における最大の障害です。 エターナルクイーン : よって、ここで確実に消去します……。
最終バトル
- 遂にスフェーンとの最終決戦が始まる。
- バトルの途中、排除されたはずのウクラマトが乱入する。
なんだ……空間に亀裂が!?
力が暴走してるのか……!?
スフェーン!! アタシの声を聞け!!!
お前の覚悟はわかってる……!
もう その想いは止められねぇってことも
だけどよ……
どうしても お前と戦わなきゃいけねぇってんなら……
心無い機械じゃない……
お前の心と向き合いてぇんだ スフェーン!!!!
ラマ……チ……
スフェーン!!!!!
記憶領域に 異常を検知しました
「スフェーン」の一部が 復元されました
これは私の願い……絶対に負けられない!
力が暴走してるのか……!?
スフェーン!! アタシの声を聞け!!!
お前の覚悟はわかってる……!
もう その想いは止められねぇってことも
だけどよ……
どうしても お前と戦わなきゃいけねぇってんなら……
心無い機械じゃない……
お前の心と向き合いてぇんだ スフェーン!!!!
ラマ……チ……
スフェーン!!!!!
記憶領域に 異常を検知しました
「スフェーン」の一部が 復元されました
これは私の願い……絶対に負けられない!
- ウクラマトの呼びかけにより、スフェーンの一部が復元される。
スフェーン : もう誰も、失いたくない……!! ウクラマト : 痛いほどわかる、お前の気持ち! ウクラマト : ……やっとお前の全部を、知れた気がするぜ! スフェーン : ずるいよ、今そんなこと言うの……! ウクラマト : これで終わりだ、スフェーン……! この旅で出会った仲間と、お前を止める! スフェーン : 諦めない……最後まで……!! スフェーン : 私が、みんなの笑顔を護るんだ!!! ウクラマト : なら、その心を受け継いで…… ウクラマト : アタシらは、お前を倒す路を往くぜ!!!
- バトル後
ウクラマト : スフェーン……! スフェーン : ……ラマチの声、届いたよ。 ウクラマト : お前、記憶を……心を取り戻したのか? スフェーン : ……ううん。 生前の「スフェーン」の記憶はもう消えちゃったから、 これはきっと、「永久人の私」の記憶をかき集めたもの。 スフェーン : でも……この記憶の欠片すら、もう消える。 メインターミナルが間もなく停止しちゃうから……。 スフェーン : だから最後に、キミたちに謝りに来たんだ。 スフェーン : 私の願いに、巻き込んでごめんなさい……。 スフェーン : 結局、私には何も変えることができなくて、 ただ自分の理想のために、多くの人の命を奪ってしまった……。 スフェーン : こんな結末になるくらいなら…… 私は造られるべきじゃなかったんだろうね。 ウクラマト : 近いようで、気が遠くなるほど遠い、隣国の王同士…… 一緒に未来を描けたらって思った。 ウクラマト : だけど……アタシらには互いに護るべきものがあったから、 同じ路を歩むことはできなかった……。 スフェーン : そうだね。 もしも私が生きていたころに、 キミたちと出会っていたなら、結末は変わったのかな……。 スフェーン : って、ダメだよね、起こらなかった奇跡に縋るのは。 スフェーン : でもね、これだけは信じてほしい。 スフェーン : キミたちと過ごした時間は、短いけど本当に楽しかった…… この記憶が消えちゃうのが寂しいと思えるほどに。 スフェーン : あのさ、もし私が消えても…… アレクサンドリアのみんなのこと…… ウクラマト : 心配すんな、アタシらがしっかりと護っていくからよ。 永久人たちのことだって、決して忘れたりしねぇ。 ウクラマト : ……それから、お前と過ごした記憶もな。 ウクラマト : だから、安心して眠ってくれ……スフェーン。 スフェーン : うん……ありがと……! スフェーン : さようなら、私が愛したアレクサンドリア。
エンディング
- スフェーンのしていた王冠が意味ありげに光り輝く。彼女の王冠は特別仕様だという。※一般のレギュレーター装着者は、切られたり倒れたりすると数秒後にその場でレギュレーターが作動して復活音が鳴って復活するが、スフェーンの場合は元の機械体が倒れきる前に近くにある機械体へと乗り移っており、元いた場所には元の機械兵が残される。
ストリカ : ……って! この子たちレギュレーター着けてないじゃん!? スフェーン様の王冠みたいに特別仕様ってわけじゃあるまいし。
衣装について
- スフェーンの衣装には前後ろにそれぞれ意味のある紋様と文字が書かれていると指摘されている。
前面
- ブローチに何か文字が書かれている。
背面
- アレクサンドリア王国の紋章らしきものに「Eternal Heart?」 ※この紋章はソリューション・ナインなどでも見ることができる。
- その下の文字は
- Many Souls?
- One Heart?
- Alexandria?
- こちらがソリューション・ナインの正面に付いている紋章。
生前のスフェーン
- メインクエストを終えるとわかるが、現在のスフェーンはプリザベーションによって再現された再現体に過ぎず、その言動は都合の良い「永遠に変わらない理想の王様」としてのものであったという(カフキワによる)。
- じゃあ生前のスフェーンはどういう人物だったのか?については、最終エリアの最終ダンジョンや、生前のオーティスにより語られる。
- 「アレクサンドリア王国」の項も参照
- それ以前
- ※ただしオーティスの語る454年前の時代とかぶる可能性がある
- 最終ダンジョン「記憶幻想 アレクサンドリア」で断片的に語られる。
- なお「記憶幻想 アレクサンドリア」で語られるのはスフェーンの王女様時代である。
- また後半は「時代が進んだ」と言っており、どうも雷光大戦の後の時代らしい。エバーキープを構築中らしい。
記憶世界の市民 : みんな…… エバーキープ完……で、諦め……ナ……!
- 454年前
- 〔スフェーン王女時代〕
- 380年前
- 〔スフェーン王時代〕
- それ以降
- 永久人としてスフェーンが蘇る。
オーティス : スフェーン様は、永久人になっても優しい方であろう? オーティス : ひと目お会いしたいと想い続けて数百年……
- 永久人としてスフェーンが蘇る。
「誕生石スフェーン」について
- (ゲームではなく現実世界で)誕生石にスフェーンという、和名チタン石(鉱物名:Titanite)、またはくさび石とも呼ばれている宝石がある。結晶の形が楔形になるためにギリシャ語でくさびを意味するフェノス(sphenos)に由来するという。
- 日本の誕生石は、1912年にアメリカの宝石商組合(現Jewelers of America:ジュエラーズ・オブ・アメリカ)が定めた誕生石を基本として、1958年に全国宝石商協同組合(現、全国宝石卸商協同組合。現在は経済産業省認可団体)により制定・発表されたものである。さらに日本では2021年にいくつかの誕生石が追加されている。この中で7月の新誕生石として追加された1つがスフェーンとなっている。
- なお誕生石は各国で若干の違いがあり、新しく追加された誕生石も違っている。Birthstones | Jewelers of Americaを見ても7月はルビーだけであり、スフェーンは含まれていない。
- アメリカでは、2016年にジュエラーズ・オブ・アメリカによりアレキサンドライト、スピネル、タンザナイト、ジルコンの4石が(アメリカの)誕生石に追加され、それを受けて日本でも2021年に全国宝石卸商協同組合によりその4石に加えてクリソベリル・キャッツアイ、ブラッドストーン、アイオライト、モルガナイト、スフェーン、クンツァイトの6石、計10石が日本の誕生石に追加された。全国宝石卸商協同組合 誕生石改訂 プレスリリースについて – 全国宝石卸商協同組合 ※ただし日本国内だけでも様々な誕生石リストが存在しており、全国宝石卸商協同組合では2021年の改定にあたって日本ジュエリー協会(JJA)並びに山梨県水晶宝飾協同組合(YJA)からも賛同を取り付けたとしている。
- なおスフェーンが7月の誕生石とされたのは、1787年にチタン石(鉱物名:Titanite)を新種の鉱物として認めたマーク・オーガスト・ピクテ(Marc-Auguste Pictet、ジュネーブ生まれの自然哲学者)の誕生日1752年7月23日にちなんで7月の誕生石にしたのだという。
- この宝石スフェーンは、黄色から黄緑、緑色、オレンジまでカラーバリエーションが多く、なかでもグリーンがもっとも人気が高いとされる。NPCスフェーンの特徴的な衣装も黄緑を中心とした鮮やかな色となっている。
- またスフェーンの石言葉には「永久不変」、「改革」、「人脈強化」、「純粋」などの言葉があるという。
- なおアシエンのもととなったと思われるFF12では、黄道十二宮に対応する光と闇の異形者が定められており、そこでは蟹座に位置するのが騎士聖斗パシュタロットとなっている。蟹座は6月22日− 7月23日生まれを言う。
- またラストクエスト「黄金のレガシー」のジャーナルには、「スフェーンの記憶を辿り、「アレクサンドリア」の最深部へとたどり着いた。「世界を繋ぐ力」を発動しようとしているスフェーンを止めるため、「次元黄道」を目指そう。」とも書かれている。
- 「黄金のレガシー」開始前に、一部プレイヤーの間でこの「儚げに微笑む少女」がアシエンじゃないか?という説が出ていたが、やはり何らかの関係があるんじゃないかと思ってしまう。