エリクトニオス(Erichthonios)
- 以降に物語の核心部分に触れる記述を含みます。
- パッチ6.0まで進めていない方や「万魔殿パンデモニウム」未クリアの方、ネタバレを好まない方はこれ以降読み進めることをお勧めしません。
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概要
パンデモニウムの獄卒
エリクトニオス : 俺は、獄卒のエリクトニオス……。 パンデモニウムは、施設の大部分を地下に構えているんだが、 その中でも一番地上に近い階層、「辺獄」を持ち場としている。
父母
父:ラハブレア
- 父はラハブレア
ヘスペロス : 「ラハブレア」様の息子でありながら、 ろくな魔法も使えぬ、能無しのお前がなあ!!
テミス : その物言いからして、父であるラハブレアのことは、 尊敬の対象ではないということかな……。
- しかし父ラハブレアとの関係性は希薄なようで、尊敬できるような存在ではなくむしろ嫌悪感を抱いている。
エリクトニオス : 「父」と俺の繋がりといえば、 俺が使う鎖と、監獄を囲うあの鎖……その程度のものさ。 テミス : やはり君は、ラハブレアの息子だったのだね。 エリクトニオス : 魔法も不得手な、落ちこぼれの息子だがね。 エリクトニオス : 彼が教えてくれたのは、この魔法だけだったんだ。 あとは研究のため、院にこもりっぱなし……。 俺を育ててくれたのは、同じく院の研究者だった母さ。 エリクトニオス : そのとおり、俺は尊敬する母アテナに呼ばれたから、 パンデモニウムで働くようになったんだ。 決して、ラハブレアのためではない。
- 転身時にラハブレアの仮面を付けていた理由。また腰に吊しているクリスタルは昔ラハブレアが贈ったものであるという。
エリクトニオス : そういえば……俺が転身したとき、 ラハブレアの仮面がついていたのは気づいていたか? エリクトニオス : 転身後の姿には、自身の精神が反映されるという。 あの仮面は、俺の心の枷を象徴するものだと思っていたけれど、 もしかしたら……違ったのかもしれないな。 ラハブレア : エリクトニオスが、腰に吊しているクリスタルは、 その昔、魔法発動の助けとなればと願い、私が贈ったものだ……。 「檻」を使いこなせる今では、もう不要だろうがな。
母:アテナ
- 母はアテナ
テミス : ヒッポカムポスとの戦いに挑む前、君が口にしていた、 パンデモニウムの初代長官、アテナ……。 それが、君の母上だね? エリクトニオス : そのとおり、俺は尊敬する母アテナに呼ばれたから、 パンデモニウムで働くようになったんだ。 決して、ラハブレアのためではない。
- アテナはラハブレア院の研究者であったが、のちパンデモニウムの先代長官となっている。
エリクトニオス : パンデモニウムの先代長官、その名も「アテナ」。 もともとはラハブレア院の研究者だった人で…… 俺を獄卒へと登用してくれたのも、彼女さ。
- なお母アテナは既に死んでいる。
テミス : しかし何故、ラハブレアに長官の地位が移されたんだい? エリクトニオス : ……母が、死んだからだ。 エリクトニオス : だと言うのにラハブレアは、 ただ黙って、長官の地位を引き継いだ。 そんなヤツのことを……俺は尊敬などできない……!
コンテンツ
- パッチ6.01実装の8人レイド「万魔殿パンデモニウム」1層で登場する。パンデモニウムを訪れることになった光の戦士は、十四人委員会よりの命を受けて訪れたテミスと出会い、共にパンデモニウムへと行くことになる。そして1層で獄卒のエリクトニオスと出会う。
エリクトニオス : 俺は、獄卒のエリクトニオス……。
- 「辺獄」に収監していた創造生物たちが突然「檻」の外に出て暴れ始め、それに必死に対処するなかで気づくと独りになっており、なにかに囁かれているような気がして気づくと転身していたのだという。
エリクトニオス : 「辺獄」に収監していた創造生物たちが、 いきなり「檻」の外に出て、暴れ始めたんだ……。
エリクトニオス : 俺も、仲間たちと必死に対処しようとしたんだが…… 混乱の中……気がついたときには、もう独りきりだった。 エリクトニオス : そのうち、何かに囁かれているような気がしてきて…… いつの間にか転身までして、手当たり次第に攻撃を……。
現実世界のエリクトニオス
- エリクトニオス(古希: Ἐριχθόνιος, Erichthonios)はギリシア神話におけるアテネの伝説的な王とされる。
- ギリシャ神話によると、アテーナー(アテナ)が鍛冶の神であるヘファイストス(ヘーパイストス)を訪ねて武器を要求した際に、ヘファイストスはアテーナーを凌辱しようとして追いかけてしまう。アテーナーはやがて追いつかれヘファイストスと争うが、このときにヘファイストスの精液がアテーナーの太ももに落ちてしまい、アテーナーは羊毛の切れ端でそれを拭き取って捨ててしまう。それにより大地が懐妊して生まれた子がエリクトニオスだとする。
- ヘファイストスについては「万魔殿パンデモニウム」の項を参照
- エリクトニオスは上半身は人間、下半身はへびの形をしていたことから、アテーナーはケクロプスの3人の娘たちに、籠のなかを見ることを禁じてその子を預けてしまう。しかし好奇心を抑さえきれなかった姉妹は、ある時に籠を覗いてしまい、奇怪な赤子を見たショックで驚愕のあまり発狂してアクロポリスの断崖から身を投げて死んでしまう。
- このケクロプスは伝説上の初代アッティカ王。エリクトニオスの曾孫にもアテナイ王ケクロプスがいるが後世の別人。ただし伝説は渾然一体としており、Wikipediaでも2人の系譜が混じってしまっている。
- 初代アッティカ王ケクロプスも大地から生まれ、下半身が蛇であったという伝説を持つ。一夫一婦制や葬礼の創始、文字の発明、人身御供の廃止などを行った人物とされる。
- アテーナー神とポセイドーン神がどちらかを守護神として選べと迫ったとき、王は国民に相応しい贈り物を贈った方を守護神にするとした。ポセイドーンが塩水の泉を作り、アテーナーはオリーヴを植えた。国民がアテーナーを選んだためアテーナーを守護神にすることに決めたのだという。以降アッティカ王は国の名をアッティカからアテーナイと変更したという伝説がある。このアテーナイ近辺は現在のギリシャの首都アテネとなっている。
- アテーナーに育てられたエリクトニオスは、成人するとケクロプスに譲位されてアテナイの王となり、ニンフのプラークシテアー(プラクシテア)と結婚して息子パンディーオーン(パンディオン)を儲けたという。
- ※実際にはケクロプスの死後、王位は市民の有力者クラナオスに引き継がれるが、クラナオスはその娘のひとりと結婚したアムピクテュオーン(プロメーテウスの子デウカリオーンとピュラーの子)に王位を追われた。アムピクテュオーンは12年間アテーナイを支配するが、エリクトニオスによって王位を追われたのだという。
初代アッティカ王ケクロプス ─ クラナオス ─ アムピクテュオーン ─ エリクトニオス
- ※実際にはケクロプスの死後、王位は市民の有力者クラナオスに引き継がれるが、クラナオスはその娘のひとりと結婚したアムピクテュオーン(プロメーテウスの子デウカリオーンとピュラーの子)に王位を追われた。アムピクテュオーンは12年間アテーナイを支配するが、エリクトニオスによって王位を追われたのだという。
- またエリクトニオスは様々な技術に優れており、馬をくさびで繋いで戦車として引かせたり、銀を精錬したり、鋤で地を耕したという。ゼウスは彼の技術に感銘を受け、エリクトニオスの死後、彼を天に昇らせぎょしゃ座の星座にしたという。※ぎょしゃ座には諸説があり、ヘルメースの息子ミュルティロスであるとも、あるいはテーセウスの息子ヒッポリュトスとする伝承もある。
エリクトニオスの子孫
- エリクトニオスの子であるパンディーオーン(古希: Πανδίων, Pandīōn)は、母プラークシテアーの姉妹ゼウクシッペー(つまり叔母)との間にプロクネー、ピロメーラー、エレクテウス、ブーテースを儲けた。※系図はWikipediaのエリクトニオスの項を参照
エリクトニオス ─ 子・パンディーオーン ─ 子・エレクテウス ─ 子・ケクロプス ─ 子・パンディーオーン
- 【プロクネー、ピロメーラー】エリクトニオスは、ある時テーバイ(ポリスのひとつ)の王ラブダコスとの間に戦争が起きたとき、トラーキアの王テーレウスの援軍を得て勝利したため、テーレウスに娘のプロクネーを嫁がせた。しかしテーレウスは、このプロクネーが死んだと偽って妹であるピロメーラーと結婚した。そして全てを知ったピロメーラーが何も話せないように舌を切り取ってしまう。しかしピロメーラーは文字で姉のプロクネーに知らせたため、プロクネーはテーレウスとの間に生まれた息子イテュスを殺してテーレウスの食事に出し、ピロメーラーとともに逃げた。そしてテーレウスに捕まる寸前、神に願ってそれぞれ鳥になったという。
- 【エレクテウス】ディオゲネイアの娘プラークシテアーと結婚し、子供にオーレイテュイア、プロクリス、ケクロプス、クレウーサ、クトニアー、オーレイテュイア、メーティオーン(古希: Μητίων, Mētiōn)らがいる。父のパンディオーンから受け継いだ権力を分割するにあたり、エレクテウスは政治権力を、ブーテースはアテーナーとポセイドーンの神官職の権利を得た。それらは子孫にも受け継がれた。
- 後にメーティオーンの子たちは反乱を起こし、当時アテーナイを支配していたパンディーオーン王(これはエリクトニオスの子ではなく玄孫にあたる別人で、メーティオーンの甥:兄弟ケクロプスの子)を追放した。
- また歴史家シケリアのディオドロスによると、メーティオーンはエレクテウスの息子エウパラモスの子でダイダロスの父となっており、このダイダロスの子がイーカロス(古希: Ἴκαρος, ラテン文字化:Īkaros, ラテン語: Icarus。イカロス)である。
- またメーティオーンのもう一人の子であるペルディクスの子がタロース(古希: Τάλως, Talōs。タロス)である。つまりダイダロスの甥にあたる人物。※ただしタロースには諸説あり、鍛冶の神ヘーパイストスあるいはダイダロスによって作り出された青銅製の自動人形であるとも、あるいはクレースの子でヘーパイストスの父、ラダマンテュスの祖父、オイノピオーンの子ともされる。