コラム/ないものねだり

  • いわゆるレガシー鯖からの移転解禁の発表後、公式フォーラムで無駄な論争が続いている。
  • しかし、レガシープレイヤーからすれば大半の主張に困惑しているのが事実だ。クローズされてもいつまでも同じ趣旨のスレッドが続くため、いくつかの主張に対して思うことをまとめておく。



主張1:「レガシーは大量のギルを所持している」

  • 当たり前だが、これは「ごくごく一部の人」の話でしかない。
  • 逆に、現在の新規ワールドで考えてみればいい。新生エオルゼア開始後、新規ワールドにおいてすでに1000万ギルやそれ以上ためた人がいるようだが、それはごく一部にすぎない。大半のプレイヤーは、テレポ代金の表示に二の足を踏み、装備購入や日々の食事代でさえ気を使わざるを得ないプレイをしていると思われる。それが普通だ。
  • それはレガシープレイヤー(現行版プレイヤー)とて同じで、よほどうまく蓄財をして、しかもそれを、現行版終了前の超過疎状態で新生エオルゼアがどんな出来になるのかがまったくわからない状態でも目的意識を失わずに継続できた、ごくごく一部の人にすぎない。大半のレガシープレイヤーはそうではなく、数千万ギル貯めればかなり頑張ったほうだと言えるのではないか。※旧レリックの土台武器の価格や禁断用マテリアの売れ行きからの想定。
  • なお「現行版ではギルが新生よりも高効率で貯めることができた。」という指摘もあるが、それが可能だったのは一部期間であって、なおかつギルドリーヴチケットがなければ難しかったりと、決して無尽蔵にシステムからのギル引き出しができたわけではなく、こつこつと同じ作業を繰り返した結果にすぎない。でなければレガシープレイヤー全員がギルカンストしていないとおかしいのだが、現実は決してそうではない。大半のプレイヤーは旧レリック土台武器(当時1千万~数千万ギル)の禁断で悲鳴をあげていたのだ。
  • その後レガシープレイヤーは、(上記ギルが比較的高効率に貯めることができたということを考慮して)新生エオルゼア開始に際して「例外なく所持金を一括で10分の1にする」デノミにより大きく所持金を減らされている。現行版で1億ギルを貯めた人は、新生開始時点では新生エオルゼアで1千万ギルを貯めた人と同じ結果にしかなっていない。※もちろんギル以外にレリック武器取得クエストの大幅な変更があったり、数えきれないほどの土台装備を破壊してまでの禁断装備がアラガントームストーン哲学や不活性マテリアに変わったり、他にも事実上無効にされたり削除されたアイテムも多数ある。
  • これに対して、フォーラムで騒いでいる人は「レガシー蓄積分+新生分で、倍たまっている事になる!」などと主張したいようだが、それはプレイ時間が違うのだから当然だ。
  • 騒いでいる人はいつまでも新規プレイヤー気分のようだが、たとえば4月14日のプレイステーション4版開始でプレイを始める人もいる。このプレイヤーにとってみれば、「新生開始後8月末~4月まで8ヶ月弱も先行」してプレイし、すでに1千万以上も貯めた人がごろごろ居るというのは気にならないといえば嘘になるだろう。
  • しかしだからといって、PS4版開始時にすべてのプレイヤー資産を再デノミしますとはならない。なぜかといえばそれがオンラインゲームの当然の仕組みだからだ。ずっと同じワールドを運営し続けるのだから、先行プレイヤーが有利になるのは致し方なく、もし仮にその利点を奪ってしまえば、他のプレイヤーに先行してこつこつプレイする利点が失われてしまう。※例えば「スイッチを押すだけで過去イベントのアイテムをすべてモグレターで配布します。」などとすると、わざわざ季節限定イベントをする意味が無くなる。
  • もちろん一部だからといって、移転に際して経済に一切影響がないとは言い切れない。ただし、ワールド移転サービスでは一度に持ち出せるギル資産は1キャラクターあたり120万ギル(リテイナー所持金含む)に制限されている。何度も移転を繰り返すことで理論上これを上回るギルを持ちだし可能になるが、1回の移転で1800円がかかりなおかつ再移転手続きまでにリアル3日間を要するため、そこまでする奇特なプレイヤーが多くいるとは到底思えない。
  • しかも何度も指摘されているように、新生開始後半年も経過した現時点で移転を行うレガシープレイヤーは一部である。心配されるような、「資産を大量に持って移転するプレイヤー」は、上記資産を持つごく一部のプレイヤーの中のさらにごく一部に過ぎないため、ワールド経済を脅かすほどの巨大な影響力を持ってはいないということだ。
  • それが今回解禁に際して運営が下記の判断をした理由だと思われる。

    なお度々スレッド中で話題になっている「不活性マテリガ」はワールド移転後も 交換可能ですが、それも含めて経済への影響は許容範囲と判断した上で、 ワールド移転のタイミングを決定させて頂きました。

  • それよりも、新生エオルゼア開始時の混乱により、「やむなくレガシーワールドにキャラクターを作らざるを得なかったプレイヤー」の救済が半年以上も遅れた点に注目すべきだろう。多くの人は開始時のキャラクターを断念して、数週間遅れで新規ワールドにキャラクターを作成してプレイを再開したのではないかと思われるが、開発・運営の不手際とはいえ、フォーラムでもこのことを気にしている人が少ないほうが気になる。


主張2:「レガシーの持っている××が羨ましいから新規プレイヤーにも入手手段を与えるべき」

  • たとえば現行版のみの季節イベント報酬装備や、レベル25のキャラなら一定期間内だれでももらえたグゥーブー、旧クラスクエストの報酬装備、その他レシピから削除された装備品などがそれに当たる。
  • これもレガシープレイヤーを一括りにしているから生まれる誤解で、レガシーワールドのキャラクターを引き継いでいるもののこれら全ての装備品を所持している人などごく一部にすぎない。
  • その上、グゥーブーに関してはすでにローレルグゥーブーが「外見が異なる」という理由にならない理由で蛮族クエストの報酬として開放された。※旧グゥーブーとローレルグゥーブーの外見上の違いとは、色違いやサイズ違いはなく、グゥーブーの頭の上に敷物があるかどうかに過ぎず、その差異を知っていて注視しなければ通常プレイではわからないレベルである。
  • ちなみにグゥーブーについて現行版での運営の説明は次のような内容だった。

    「グゥーブーホルン」についてはこれまでのトピックスでもお知らせしている通り、パッチ1.23a時点より入手不可になっていますが、新生FFXIV以降もグゥーブーに乗る手段を新たに獲得することはできません。 (現在「グゥーブーホルン」を所持しているプレイヤーは、引き続き新生FFXIVでもグゥーブーに乗ることができます。

  • この文章で、「確かに”ローレルグゥーブー”は”グゥーブー”じゃないから全然問題ないね^^」と納得できる日本人はいないだろう。ただし別の視点で見れば、レガシープレイヤーでもグゥーブーを取り損ねた人が現行版運営中でも周囲にけっこういた(パッチ1.20b~1.23aの限定配布)ため、それらのプレイヤーへの救済措置と考えれば、他の季節イベント報酬と同様、新生エオルゼアのポリシー的に配布されても致し方ないとは思う。
  • これについて、レガシープレイヤーが今回のようにフォーラムでスレッドを連立してしつこく騒いだという記憶がないが、運営が自らの告知をひっくり返した重大な裏切りであると考えており、決して忘れることはないだろう。これはグゥーブーに限った話としてではなく、運営が「~の期間にしか入手できません」といったとしても、いくらでもひっくり返るという非常に残念な前例を作ったという意味で今後も引きずるだろうということだ。なにせ文面通りに受け取ると裏切られるのだから、パッチに書かずに調整をする「裏パッチ」同様、顧客との間に信頼関係を築くという点で大きなミスだ。
    • ここでは省くが、現行版終了までに運営が文章で説明した内容で、新生後も果たされていない事柄はこれ以外にも多数ある。
  • グゥーブー以外の装備品で見ると、季節イベント装備品については(恐らく既存取得者との差をなくすという理由で)新生エオルゼア開始以降に再配布されており、このまま1年経過すれば現行版でしか入手できなかったアイテムはなくなるものと思われる。ただし、これも季節イベントをその期間内にやる理由をなくしてしまったという点で少し残念な施策ではある。例えば現在ライトニングイベントが(欧米での販売開始にあわせるという理由で)再開されているが、ほとんど誰も参加していない緊張感のかける散漫なイベントとなってしまっている。ネトゲの季節イベントはライブ感の演出方法として最適なのだが、「季節イベントで取り逃しても来年にはまた配布される」となれば、わざわざ今年に取る必要性が薄れてしまう。
  • 残るのは旧クラスクエスト報酬装備やその他旧レシピ装備ということになるが、これらはそもそも取得できていた人のほうが少なく、新生開始後は性能には期待できずいわばオシャレ装備でしかない。
  • しかもゲームデザイン上、オシャレ装備を着用するタイミングが非常に少なくなっており、その上デザインが一新された新生エオルゼア以降に実装された装備品と比べるとデザイン面で見劣りがするため、オシャレ装備としてわざわざ持ち出す人のほうが少ないと思われる。※例えて言うならば、アラガン装備がはびこる現時点において、ダークライト装備をオシャレ装備として着用するようなイメージになる。
  • また、これまでの流れを見ると(眠っているテクスチャの活用という観点から)、恐らく旧レシピ品を含めた現行版限定装備品についても、いずれかのタイミングでレシピ開放を含め取得する機会が来るのではないかと思われる。しかしそれ以前に、麦わら帽子など不足しているカテゴリーの装備品充実を図ってほしいと思う。


主張3:「不活性マテリアが云々」

  • 現行版で所持していたマテリアは、新生開始時点ですべて「不活性マテリア」に変換されており、遺失物管理人NPCに持っていけば自由に種類を選択して新生エオルゼアのマテリアに変換できる。これを持ち出せなくしろという主張も多く見られた。
  • しかし主張1のところでも書いたが、仮に今回これを運営が受け入れ不活性マテリアを持ち出せなくしたとする。スクウェア・エニックスとしてはFF14新生エオルゼアを10年間運営するつもりで開発体制を整えており、同時に多大な社内リソースを投入している。仮に今回そうした前例を作ってしまうと、今後新設したワールドへの移転の際に同様の問題が発生し、解禁に際して新設ワールドのプレイヤー側から同様の主張がなされるのは言うまでもない。
  • 例えば恐らく来年夏ごろになると思われるエクスパンション販売時にワールド新設が行われるとする。エクスパンションでは恐らく「新ジョブ」実装や「空」の実装、もしかすれば「新種族」実装など、FF14にとって新生以来の大きなターニングポイントになるだろうし、このタイミングで開始するプレイヤーも多くいるだろう。
  • この時、「既存プレイヤーは新生開始後2年間も蓄財してるので、既存ワールドから移転されると困る。大量に資産移動できてしまうのでアラグ金貨をバインドして欲しい(もしくは移転できないアイテムにして欲しい)」「すべてのマテリア(装備や素材なども)をバインドして欲しい」という主張も言おうと思えば言えてしまうということだ。この時にいまフォーラムで騒いでいるプレイヤーは一体どうするつもりなのだろうか?※そもそも新鯖に移転する必要を感じないのは、現時点でのレガシープレイヤーも同感だ。
  • 自分たちより前に始めたプレイヤーの資産に対してケチを付けそれを運営がいちいち認めて対応する流れを作ってしまうと、新生エオルゼアは「先に始めれば損をする」という非常に特殊なオンラインゲームになってしまう。※すでにバハムート邂逅編緩和、神話取得制限緩和が発表されており、「歯を食いしばって」先行してもバカを見るゲームになりつつあるが。
  • 繰り返すが、プレイステーション4版発売を機に新規ワールドでプレイを開始するプレイヤーから見れば、「レガシープレイヤーも新生エオルゼア開始時の新規ワールドのプレイヤーも同じ」にしか見えない。
  • それは、ちょうど非レガシープレイヤーから見れば、「資産を持っているレガシープレイヤーも、そうではないプレイヤーも同じにしか見えない」のと同じだ。すべてのレガシープレイヤーがグゥーブーを持っているわけでもなく、旧クラス装備を持っているわけでもない。旧極イフや紅月下をクリアした人がいればそうでない人も大勢いる。だからといって、どこかで線引きをすることもできない。その難しい線引きが「10分の1」にするデノミであり、ワールド新設から半年+ハウジングでの価格差による吸収であったのだ。
  • 恐らく今後も、新規に設置されたワールドへの移転は、同様の期間を経て移転解禁がなされると思っておいたほうがいいだろう。その際には、ワールド移転サービスの範囲内で制限があり、それ以上の特段の制限がなされることはないだろう。


まとめ

  • 要するに、現在フォーラムで騒いでいる人たちは、「新生エオルゼアが10年間運営するタイトル」であることを考え、「自分たちより後に開始するプレイヤー」のことにも思いを馳せて欲しいと思う。
  • 「レガシー」とひとくくりにするということは、自分たちも同様にひとくくりにされる時が来るということを忘れてはいけない。新生開始時に同時に始めた人の間でも、環境の違いやスタート時点でトラブルに巻き込まれた人など、すでに多くの差がついてしまっていることだろう。
  • PS4版開始の人に、「えっ!新生開始組なのにフルアラガンじゃないんですか??」「メインジョブのアラガン武器はみんな当然持ってると思ってた」、または「過疎鯖なのにハウジングまだもってないんですか?」などといわれれば、反論したくなる人も多くいるだろう。これらはエンドコンテンツであるため仕方ないところもあるが、新生から1千万ギル貯めた人がいるからといって、「新生開始組の人ってみんな1千万ギル持ってるんでしょ?」と言われてもそんなに持ってない人のほうが多いだろうし、「100万しかないの?先輩、半年以上何してたんですか??」などといわれれば頭にくるかもしれない。
  • またはバレンタイン装備やライトニング装備を取り逃がしたという人も中にはいるだろうし、取得はできたが「かばん」の容量問題で泣く泣く捨てた人もいるだろう。キャラクターの性別の関係でこの装備イラネと見送った人もいるだろう。こういったところは(悪い意味で)現行版から何も変わっていない。
  • 誰もが同じペースでプレイできるわけでもなく、すべてのプレイヤーに平等なわけでもない。同じチームで大迷宮バハムート邂逅編に挑んでいる仲間ですら、すでにロット運の差の蓄積により、神話装備の取得部位の差により、メインとしているジョブの違いにより、所持している装備品の量は違ってきているはずだ。
  • しかしだからといって、他のプレイヤーを僻み、ないものねだりをしてみても、(精神的・肉体的・時間的に)自分が損するばかりでなんの解決にもならない。これはレガシー・非レガシーや、今後開始するプレイヤーに置き換えてもまったく同じということだ。
  • 10年というのは非常に長い。いずれ吉田Pがプロデューサーを辞めるときも来るだろうし、別の人がディレクターに就任するのはもっと早いだろう。新しいゲームは次々と登場するだろうし、PS4の「次」のコンソール機も登場するかもしれない。その間、ずっとFF14が今の状態であるはずもなく、浮き沈みもあるだろう。
  • すべてのプレイヤーが同時に開始するわけではなく、すべての期間継続してプレイし続けるわけでもない。新生エオルゼア開始時点は中学生だったなどの理由でプレイできず、高校生になったから大学生になった時点でプレイを開始するというひともいるだろう。
  • 自分たちから見れば先行プレイヤーがいることが気になるのだろうが、それは今後開始するプレイヤーから見ても同じということを忘れてはいけない。
  • それでもまだ「いやいやレガシーは」というほどこだわる人は、現行版をプレイすればよかっただけなのだ。ゲーム以下と評価され、歯を食いしばってプレイしているとまで言われ、パッチごとに無意味とも思えるイベントが繰り返され、意味もなくダラガブが近づくが、同時に加速度的に人は減っていく一方のエオルゼアで、日々ギル稼ぎに邁進すれば良かっただけなのだ。紅月下や旧極イフを戦った人はそれを楽しいと思ったし、それに意味を見いだせなかった人も多数いたというだけの話にすぎない。
  • それは現在の新生エオルゼアに対してもまったく同様で、180万売れたというが、逆に言えば180万しか売れていないということでしかない。新生開始時にプレイしていた人で、現在すでに休止している人も多数いるのだ。そのプレイ期間による差が生まれたからといって騒ぐ人は異常という他ない。
 
 

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